商売解剖図鑑

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電気保安管理業務の受託

自家用電気工作物の保安管理業務外部委託/電圧7,000ボルト以下で受電する高圧の需要設備/電気保安法人を1社つくり、保安業務担当者2名で82件を受託/車で2時間以内に到達できる範囲

机上版無店舗BtoB無店舗BtoB許認可あり

調査日 2026-08-25 / 原典を確認した日 2026-08-25

現地には行っていません。公開されている情報と、そこから組んだ試算だけで書いています。実額の裏取りが済んだら検証版として更新します。

初期投資

475万円

幅 320〜650万円

月の営業利益(標準)

705,833円

弱気 ▲129,667円 / 強気 1,423,600円

経営者の時給(標準)

5,558円

月 127時間

投資の回収(標準)

7か月

個人事業としての点数

61 / 100

自分の資金と時間で始めて、自分が回す商売として

事業としての点数

72 / 100

人と仕組みで、本人から離れて大きくなるか

この商売を他とくらべる分析の方法

この商売はどういうものか

ビルや工場や店舗が持っている高圧の受電設備を、月に一度と年に一度見に行って、法令に合っているかを確かめる仕事です。設備を持っている側には電気主任技術者を置く義務がありますが、一定の規模までは外に委託して国の承認を受ければ、置かなくてよいことになっています。その受け皿になり、1件いくらの委託料を毎月受け取ります。

この試算で見ている形

  • 体制:標準ケースは保安業務担当者2名(本人と雇用1名)で82件を受託。
  • 地域・立地:一つの産業保安監督部の管轄区域内にある人口50万人規模の都市とその周辺。
  • 営業の形:委託先の事業場まで車で2時間以内に到達できる範囲(電気事業法施行規則第53条第2項第6号と、主任技術者制度の解釈及び運用(内規)4.(9)で「遅滞なく到達」は2時間以内とされている)。合同会社1社。受託するのは電圧7,000ボルト以下で受電する高圧の需要設備のみ。設備容量は150キロボルトアンペア以上350キロボルトアンペア未満(換算係数0.8)で揃えて置いた。太陽電池発電所・蓄電所・水力火力風力の発電所・配電線路は受託しない。
  • 売上の作り方:受託件数と1件あたりの月額委託料を掛け合わせた額が月商になります。

想定した人と、その一年

電気工事会社で高圧の現場を10年やって、途中で第三種の免状を取った人を置きました。免状を取ってからも会社に残り、実務経験の年数を数えながら、講習と訓練を受けています。独立してからは、月の前半で担当の事業場を一巡します。キュービクルの扉を開け、音と匂いと焦げを見て、電圧と電流と漏れを測り、設置者に「先月から変わったことはありませんか」と聞いて、報告書を置いて帰る。 1件におよそ1時間半。移動のほうが長い日もあります。年に一度は停電させて、絶縁と接地と継電器を試験します。こちらは半日仕事です。夏の落雷と、冬の塩害と、台風のあとは電話が鳴ります。 2時間以内に着けるところにしか客を取っていないのは、そう決められているからです。いちばん怖いのは、担当している事業場で停電を起こして周りまで巻き込んだ日と、もう1人を雇ったのに、その人の担当が半分しか埋まらないまま半年が過ぎる日です。以上は試算のために置いた姿であって、実在の誰かではありません。

結論

先に、この試算が何の上に乗っているかを置いておきます。

ひとつは、天井です。受託する側の要件を定めた告示は、第三条第四項で「別に告示する値は三十三とする」としています。事業場ごとに換算係数が決まっていて、担当する事業場の換算値を足し合わせた値が33を超えてはいけない。高圧で受電する需要設備なら、設備容量150キロボルトアンペア以上350キロボルトアンペア未満で0.8です。33を0.8で割ると41.25なので、この試算は1人あたり41件と置きました。標準ケースは保安業務担当者2名で82件です。

もうひとつは、単価です。1件あたりの年間委託料を240,000円、月にならして20,000円と置きました。ここには出典がありません。公的な料金表を見つけられず、中立の実額として取れたのは自治体の落札額だけでした。

この商売は、客を増やしてから人を雇うのではありません。人を雇ってから、客を増やします。

黒字の線は、1人でやるなら13件です。ところが人を1人雇うと、固定費が225,625円から800,917円へ増えて、黒字の線は44件へ跳ねます。1人が持てるのは41件まで。雇わずに44件へ行く道が、制度の側に用意されていない。しかも1人でやっていたときの月527,750円に戻るのは、2人で73件に届いたときでした。41件から73件。32件ぶんの営業を、人を雇ったあとに走ることになります。

何で決まるか数字標準ケースとの比
1件あたりの月の貢献18,375円
黒字に要る件数(1名体制)13件0.16倍
告示の33を1人で使い切る件数41件0.50倍
黒字に要る件数(2名体制)44件0.54倍
雇う前の月527,750円に2名体制で戻る件数73件0.89倍

埋め切れば、数字は立ちます。標準ケースの営業利益は月705,833円、営業利益率43.0%。経営者時給5,558円は、雇う相手の時間あたり2,162円の2.57倍です。年間の営業利益8,469,996円を所要資金8,750,000円で割ると、年96.8%になりました。

電気主任技術者免状と、告示が定める実務経験の年数を先に満たしていて、同じ要件を満たす人をもう1人採れるなら、この試算では成立します。標準ケースの経営者時給は5,558円、始めるのに要るのは8,750,000円、うち初期投資4,750,000円は7か月で戻る計算になりました。免状も年数も持っていないなら、この試算は最初から当てはまりません。年数は金では買えないからです。

これは「合同会社を1社つくり、電圧7,000ボルト以下で受電する高圧の需要設備だけを、保安業務担当者2名で82件受託する」という形についての見立てです。個人事業者として受ける形、太陽電池発電所を主に受託する形、発電所や配電線路まで扱う形、電気工事と保安管理を同じ会社で両方やる形、既にある電気保安法人を買って引き継ぐ形は、要る資格も、天井の外し方も、1件あたりの手間も変わります。この試算は、そこを見ていません。法人の代表者が免状を持たないまま、有資格の保安業務担当者だけを雇う形も別です。規則がその代表者に免状の要件を置いていないところまでは確かめましたが、その形で承認が通るかどうかは確かめていません。

で、この商売はどういうものか

電気主任技術者免状と、告示が定める実務経験の年数を先に満たしていて、同じ要件を満たす人をもう1人採れるなら、この試算では成立します。標準ケースの営業利益は月705,833円、経営者時給は5,558円。 8,750,000円のうち初期投資4,750,000円は7か月で戻る計算になりました。ただし、そこへ行く順番が普通と逆です。黒字の線は、1人でやるなら13件、人を雇うと44件。ところが告示の値は33で、1人が持てるのは41件までしかありません。雇わずに44件へ行く道は、制度の側に用意されていない。先に雇って、そのあとで32件ぶんの営業を走ることになります。免状も実務経験の年数も持っていないなら、この試算は最初から当てはまりません。年数は金では買えないからです。

標準ケースの経営者時給は5,558円。始めるのに要るのは8,750,000円。投じた額が戻るのは7か月の見込みです。

これは「合同会社を1社つくり、電圧7,000ボルト以下で受電する高圧の需要設備だけを、保安業務担当者2名で82件受託する」という形についての見立てです。個人事業者として受ける形、太陽電池発電所を主に受託する形、発電所や配電線路まで扱う形、電気工事と保安管理を同じ会社で両方やる形、既にある電気保安法人を買って引き継ぐ形は、要る資格も、天井の外し方も、1件あたりの手間も変わります。この試算は、そこを見ていません。法人の代表者が免状を持たないまま、有資格の保安業務担当者だけを雇う形も別です。規則がその代表者に免状の要件を置いていないところまでは確かめましたが、その形で承認が通るかどうかは確かめていません。

結論の要約
結論の要約

ここが面白い

この商売の天井は、告示に数字で書いてあります。受託する側の要件を定めた告示は、第三条第四項で「別に告示する値は三十三とする」としています。事業場ごとに換算係数が決まっていて、担当する事業場の換算値を足し合わせた値が、33を超えてはいけない。高圧で受電する需要設備なら、設備容量が150キロボルトアンペア以上350キロボルトアンペア未満で0.8です。33を0.8で割ると41.25。この試算は1人あたり41件と置きました。

効いてくるのは、この33が人につくことです。個人で受けるなら本人ひとりの合計で33。法人で受けるなら、申請した事業場を担当する保安業務担当者ごとに33。件数を増やす道は、担当できる人を増やすことしかありません。設備を買っても、車を増やしても、営業を強くしても、33は動かない。担当者になれるのは、電気主任技術者免状を持っていて、実務経験の年数を満たした人だけです。第三種なら5年、保安管理業務講習を修了していれば3年、講習と訓練の両方を修了していれば2年。

ここに雇う側の落とし穴があります。雇った瞬間、その人の担当は0件です。増えるのは固定費だけで、この試算では月575,292円。1件あたりの月の貢献18,375円で割ると32件になります。本人が自分の41件を埋め切っていても、雇った1人が32件を埋めるまでは、その人は費用のほうが大きい。1人でやっていたときの月527,750円に戻るのは、2人で73件に届いたときでした。32件ぶんの営業を、人を雇ったあとに走ることになります。

天井を上げる道が、制度の側にもう1本あります。告示第三条第三項第九号は、絶縁監視装置などを備えた需要設備の換算係数を0.6倍にします。0.8が0.48になり、33を割ると68件。点検の頻度も毎月から隔月へ落ちます。41件が68件になるのだから、効き方としては採用より大きい。ただし装置は設置者の設備であって、こちらのものではありません。国の質疑応答集も「換算係数を減じるために絶縁監視装置等を取り付けることを推奨するものではありません」と書いています。

もうひとつ。1件あたりの粗利LTVは3,700,000円で、顧客獲得単価50,000円の74.0倍あります。普通ならいくらでも買いに行く比率です。ところが有償で買える経路は検索の出稿くらいしかなく、しかも受けられるのは車で2時間以内に着ける範囲だけ。高いから買えないのではなく、買える在庫のほうが無い。

数字で見る

何件持てるかは、告示の表で決まる

換算係数は設備容量で段が変わります。1人が持てる件数は、33をその係数で割った値の直前までです。

高圧の需要設備の設備容量換算係数1人が持てる件数
64キロボルトアンペア未満(非常用予備発電装置なし)0.210件までは換算値から控除
64以上150未満0.654件
150以上350未満0.841件
350以上550未満1.032件
550以上750未満1.227件
750以上1,000未満1.423件
1,000以上1,300未満1.620件

この試算は150以上350未満に揃えて41件と置きました。大きい設備に寄るほど、持てる件数は減ります。1件あたりの単価は上がりますが、天井のほうは確実に下がる。どんな客を取るかが、そのまま何件持てるかを決めています。

64キロボルトアンペア未満の需要設備には、別の扱いがあります。告示第三条第一項ただし書は、この区分について「当該合計した値から十以内の事業場に係る換算値を控除するものとする」としています。10件までは、持っても換算値が増えません。担当者1人あたり41件が51件になる計算です。

点検の頻度も、告示で決まっている

需要設備の区分月次点検の頻度
64キロボルトアンペア未満(小規模高圧需要設備)3月に1回以上
信頼性の高い100キロボルトアンペア以下、または低圧受電隔月1回以上
絶縁監視装置を備えたもの隔月1回以上
遠隔から適確に点検を実施できるよう措置したもの毎月1回以上(うち3月に1回以上は現地)
キュービクル式で屋内、蓄電池も非常用予備発電装置もないもの3月に1回以上
上記以外の需要設備毎月1回以上

この試算が置いた150以上350未満の需要設備は、いちばん下の行にあたります。毎月1回以上。これに加えて、年次点検が1年に1回以上です。

初期費用

項目金額
機械器具一式(2人分。継電器試験装置と絶縁耐力試験装置は1組)2,000,000円
中古の車2台1,500,000円
事務所の敷金・什器・パソコン・通信の工事500,000円
保安規程・委託契約書のひな型・社内規程の整備300,000円
開業時の営業(名刺・パンフレット・ウェブ・挨拶回り)300,000円
合同会社の設立(登録免許税60,000円と手続き)150,000円
合計4,750,000円
運転資金(別枠)4,000,000円
所要資金8,750,000円

登録免許税だけが実額です。合同会社の設立の登記は資本金の額の1000分の7で、6万円に満たないときは1件につき6万円(登録免許税法 別表第一 第二十四号(一)ハ)。株式会社なら15万円です。残りはすべて推定になります。

開業のときに要るのは1人ぶんで、車1台と機械器具1人分を含む3,200,000円。2人目を入れるときに、車1台750,000円と機械器具800,000円の合わせて1,550,000円が追加で要る形にしました。畳んだときに戻らないのは1,250,000円で、車と機械器具の3,500,000円は中古で売れます。

初期費用の内訳
初期費用の内訳

3ケース

弱気標準強気
保安業務担当者2名2名3名
受託件数50件82件123件
1件あたりの月額15,000円20,000円25,000円
売上高750,000円1,640,000円3,075,000円
変動費65,000円106,600円159,900円
固定費800,917円800,917円1,445,375円
顧客獲得費6,250円10,250円15,375円
想定事故コスト7,500円16,400円30,750円
月間営業利益▲129,667円705,833円1,423,600円
経営者作業時間103時間127時間142時間
経営者時給▲1,259円5,558円10,025円
投資回収月数7か月4か月

弱気ケースは、保安業務担当者2名を先に揃えたのに受託が50件で止まり、乗り換えの価格競争で単価も下がった姿として置きました。この商売の下振れは、客が来ないことではなく、人を先に抱えることのほうから来ます。

3ケースの試算
3ケースの試算

費用は、ほとんどが人件費

何に比例するか標準ケースの額
売上受託件数1,640,000円
燃料・駐車・高速・消耗品受託件数106,600円
想定事故コスト売上(1.0%)16,400円
顧客獲得費解約を埋める件数10,250円
雇用する保安業務担当者の人件費担当者の人数523,000円
その他の固定費どちらにも比例しない277,917円

変動費は売上の6.5%しかありません。固定費800,917円のうち523,000円、65.3%が1人分の人件費です。この商売の費用は、持っている件数ではなく、抱えている人の数で決まります。

人件費523,000円は、令和6年賃金構造基本統計調査の「電気・電子・電気通信技術者(通信ネットワーク技術者を除く)」企業規模10〜99人・男女計から組みました。きまって支給する現金給与額376,200円 × 12 + 年間賞与その他特別給与額946,900円 = 5,461,300円。法定福利費の事業主負担を15%として6,280,495円、12で割って千円未満を切り捨てた額です。この職種は電気主任技術者だけを指すものではありません。

どこまで行けば黒字か

基準件数月商換算標準ケース比
営業利益ゼロ(1名体制)13件260,000円0.16倍
告示の33を1人で使い切る41件820,000円0.50倍
営業利益ゼロ(2名体制)44件880,000円0.54倍
雇う前の月527,750円に2名体制で戻る73件1,460,000円0.89倍

1件あたり月20,000円から、変動費1,300円と、想定事故コスト200円と、解約を埋めるための獲得費用の割り付け125円を引いた18,375円が、1件あたりの月の貢献です。獲得費用を数えずに計算しても、2名体制の黒字の線は44件で変わりません。この商売は獲得費用が薄いので、そこを入れるかどうかでは線が動かない。

動くのは、人を抱えるかどうかです。13件と44件で3.38倍。そして41件と44件のあいだに、制度の線が入っています。

どこまで行けば黒字か
どこまで行けば黒字か

客がどこから来るか

経路有償で買えるか弱点
電気工事会社・キュービクルの販売施工業者からの紹介買えない相手が自分の系列で受け皿を持っていると回ってこない
すでに受託している設置者からの紹介買えない立ち上げ期には存在しない
ビル管理会社・不動産管理会社への直接営業買えない1社でまとめて入り、まとめて失う
すでに委託している先からの乗り換え買えない価格でしか勝てず、自分も乗り換えられる
検索(地域名と、保安管理の委託で調べる人)買える2時間以内の範囲に絞られるので在庫が小さい
官公庁・自治体の入札買えない価格競争。まとめて入ると担当者1人の33を一気に食う
電気管理技術者協会・電気保安協会に所属して回してもらう買えない自分の看板では積み上がらない
設備の更新工事のとき買えない周期が10年単位で、いつ来るかを決められない

有償で買えるのは検索の出稿1本だけです。いっぽう1件あたりの粗利LTVは3,700,000円で、顧客獲得単価50,000円の74.0倍。年次解約率を6%と置いたので、82件からは毎年4.92件が抜けます。横ばいを保つには年4.92件、月にすると0.41件を入れればいい。維持は軽い商売です。積み上げるのが遅いだけです。

需要の側で分かったこと

経済産業省の令和2年度末自家用電気工作物設置件数全国計では、全国の合計は924,057件でした。低圧が51,997件(5.6%)、高圧が861,391件(93.2%)、特別高圧が10,669件(1.2%)。外部委託の対象になるのは電圧7,000ボルト以下で受電するものなので、低圧と高圧を合わせた913,388件が理屈のうえでの範囲になります。ただしこの統計の規模別の区分は電力(キロワット)で、告示の換算係数が使う設備容量(キロボルトアンペア)とは別の単位です。そのままは対応しません。

経済産業省が令和8年2月19日に出した資料は、自家用電気工作物は増加傾向にあるが外部委託件数の割合は約9割から大きな変動はない、としています。太陽電池発電所については、全国の電気保安協会と電気管理技術者協会が外部委託で受託する件数が約14,000件から約32,000件へ、2倍を超えて増えたとされています。

人の側は、こうです。

経済産業省の資料が書いていること中身
需給ギャップの見通し令和5年9月時点では令和12年度に保安業務従事者が約500人不足する予想だったが、制度見直しや業界認知度向上等の取組にくわえスマート保安による圧縮の効果も考慮すれば、令和12年度までに不足が生じないと見込んでいる
免状取得者令和5年度以降、第三種がそれまでの2倍以上に増加
受託先の構成10年前と比べて電気保安協会と電気管理技術者協会の割合が減少し、その他電気保安法人とその他電気管理技術者が増加。ただし直近でも約3分の2は協会系
協会系に所属する電気主任技術者減少傾向にあったが、令和6年度から増加傾向に転じている
認定校令和3年度から令和6年度までに31校が廃止届出

第三種の試験合格者数は、令和3年度4,357人、令和4年度7,307人、令和5年度9,894人、令和6年度8,181人、令和7年度6,365人です。令和4年度に試験が年2回になってから、水準が上がっています。

何が一番効くか

変数動かす幅標準ケースの営業利益への影響
受託件数82件→62件▲367,500円
換算係数0.8→1.0(大きい設備に寄る)▲330,750円
1件あたりの年間委託料240,000円→192,000円▲328,000円
雇用する担当者の人件費523,000円→623,000円▲100,000円
1件あたりの変動費1,300円→2,000円▲57,400円
事務所家賃60,000円→100,000円▲40,000円
賠償責任保険20,000円→50,000円▲30,000円
顧客獲得単価50,000円→150,000円▲20,500円

上位3行はどれも「何件持てるか」と「1件いくらか」です。費用の側でいちばん大きい人件費でも4番目にとどまります。

2番目の行が、この商売の性格そのものになっています。設備容量が上の帯に寄っただけで、営業も何もしていないのに天井が41件から32件へ落ちる。いちばん下の行と比べると分かりやすい。顧客獲得単価を3倍にしても20,500円しか動きませんが、客の設備が一段大きいだけで330,750円が動きます。

何が一番効くか
何が一番効くか

毎月の費用の内訳

毎月の費用の内訳
毎月の費用の内訳

投資の回収

投資の回収
投資の回収

こういう人なら向いている/やめたほうがいい

先に、土俵に立つための条件を置きます。人柄の話ではありません。

満たさないと始められない条件根拠
電気主任技術者免状と、告示が定める実務経験の年数を、始める前に満たしている第一種3年、第二種4年、第三種5年。第二種または第三種の交付後に保安管理業務講習を修了していれば3年、講習と訓練の両方を修了していれば2年。免状の交付を受けた日より前の期間は二分の一しか算入されない
同じ要件を満たす人を、もう1人採れる1人が持てるのは41件まで。雇用1名の人件費は月523,000円で、雇った瞬間に固定費は575,292円増える。1件あたりの貢献18,375円で割ると32件、そこまでは持ち出し
委託先の事業場まで車で2時間以内に到達できる場所に、拠点を置ける承認の要件として、主たる連絡場所が事業場に遅滞なく到達し得る場所にあることが求められ、内規はこれを2時間以内としている
所要資金8,750,000円を用意でき、うち1,250,000円は戻らない前提で置ける初期投資4,750,000円と運転資金4,000,000円。車と機械器具3,500,000円は中古で売れるが、事務所の敷金と什器・規程の整備・開業時の営業・設立の手続きは戻らない

4つのうち1つ目は、あとから買えません。年数だからです。2つ目も、相手が同じ年数を満たしていないと成立しません。1つでも欠けるなら見送りです。

ここからが本題になります。

向いている人なぜそう言えるか
自分の上限を、自分で数えて自分で止められる換算値33は自分で足す数字で、超えたことを外から止めてくれる仕組みが無い。超えたまま受託を続けると承認は取り消され、取消しに責めに任ずべき者は2年間、要件に該当しない。仕事が来ているのに断る判断を、毎回自分で下すことになる
同じ点検を何年も同じ手順で繰り返せる月次点検の中身は内規に細かく決められている。外観点検の項目も、電圧と負荷電流の測定も、B種接地工事の接地線に流れる漏えい電流の測定も、設置者への問診も、毎月同じ。この試算は1件1.5時間で41件、月61.5時間をここに当てている
人を雇ってから、その人の食い扶持を自分の営業で作れる黒字の線は1人体制なら13件、雇うと44件。1人が持てるのは41件までなので、雇わずに44件へ行く道が無い。1人でやっていたときの月527,750円に戻るのは73件で、41件から32件ぶん先になる
断られた相手のところへ、何年か後にもう一度行ける高圧の受電設備は10年単位で使う。契約が動くのは設備が新しくなるときか、いま委託している先に不満が出たときだけ。この試算の年次解約率は6%、平均継続は200か月。自分が入る余地も同じ確率でしか開かない
夜と休日に電話が鳴る前提で暮らせる委託契約には、災害・事故その他非常の場合における設置者との連絡を定める。事故または故障の連絡を受けたら、現状の確認、送電停止、切り離しの指示を行い、状況に応じて臨時点検を行う。2時間以内に着ける範囲にしか客を取れないのは、そのためである
やめたほうがいい人なぜそう言えるか
資格を取れば独立できると思っている免状だけでは受託できない。告示が求めているのは、免状に加えた実務経験の年数のほう。第三種の試験合格者は令和4年度7,307人、令和5年度9,894人、令和6年度8,181人、令和7年度6,365人。免状を持っている人は絞られていない
件数を増やせば増やすほど儲かると思っている1人が持てるのは41件まで。42件目を持った瞬間に換算値は33.6になり、告示の33を超える。増やしたければ人を採るしかなく、採れば固定費が575,292円まとめて増える。件数は連続して増えず、階段で増える
安く受けて件数を取り返そうとする1件あたりの月額を20,000円から16,000円に下げると、貢献は18,375円から14,375円へ落ち、82件で月328,000円が消える。取り返そうにも1人41件の上限があるので、件数では埋められない
人を雇えばすぐ楽になると思っている保安業務担当者は事業場の点検を自ら行うこととされている。従事者に行わせる場合も、自ら実施する内容が形式的なものとなっていないことが要件で、従事者1人が指示を受けて点検できるのは告示の値に0.2を乗じた6.6が上限。雇っても、本人の41件は本人が回る
手続きの細かさに耐えられない承認の申請を出すのは設置者で、受託する側は要件に該当することを証する書類を出す立場になる。委託契約書には保安業務担当者の氏名・生年月日・免状の種類及び番号まで書く。年次点検では高濃度ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物に該当するかどうかの確認まで求められる。1件増えるたびに、この一式が増える

向いている側は5つのうち4つ以上。ただし1つ目の「自分の上限を、自分で数えて自分で止められる」は必須です。やめたほうがいい側は、1つでも当てはまるなら見送りになります。

どこに活路があるか

この試算の中で動かす

64キロボルトアンペア未満の需要設備を、担当者1人あたり10件まで足す。 告示第三条第一項ただし書は、小規模高圧需要設備について「当該合計した値から十以内の事業場に係る換算値を控除する」としています。10件までは、持っても換算値が増えません。担当者1人あたり41件が51件に、2人で82件が102件になる計算です。同じ1件18,375円の貢献が取れるなら20件で367,500円が増え、営業利益は705,833円から1,073,333円へ52.1%増えます。ただし小規模高圧需要設備の点検頻度は3月に1回以上なので、同じ単価は取れません。367,500円は上限の数字です。

1件あたりの月額を20,000円から22,000円へ上げる。 貢献が18,375円から20,375円へ上がります。82件なら 20,375円 × 82件 − 800,917円 = 869,833円で、営業利益は23.2%増える計算。黒字に要る件数は44件から40件へ下がります。

保安業務担当者をもう1人採り、その人の41件を埋め切る。 1人体制で41件のときの営業利益は527,750円、2人体制で82件にすると705,833円で、差は178,083円。告示の33が人につく以上、これが1人ぶんの上げ幅になります。ただし雇った直後は41件のままなので営業利益は47,542円のマイナスに落ち、44件で損益ゼロ、73件で雇う前の水準に戻ります。

この試算の外に出る

制度──絶縁監視装置を備えた需要設備を受託先に増やす。 告示第三条第三項第九号は、該当する需要設備の換算係数を0.6倍にします。0.8が0.48になり、33を割ると68.75。担当者1人が持てるのは68件で、41件の1.66倍です。点検の頻度も毎月から隔月へ落ちます。成立させるには、設置者の側が装置を付けていることが要ります。自分の設備ではないので、こちらでは決められない。すでに付いている事業場を選んで営業するなら、この試算の中で完結します。ただし装置が付いている高圧需要設備が何件あるかを示す公開データを見つけられませんでした。

体制と時間──免状はあるが年数が足りない人を先に雇い、補助者として実務経験を積ませて担当者にする。 国の質疑応答集は、他の管理技術者または保安業務従事者の補助者として点検等に従事した場合、設備21件の点検等を1月分として実務経験の期間を算定するとしています。第三種の免状を持ち保安管理業務講習を修了していれば要る年数は3年、講習と訓練の両方を修了していれば2年。2年は24か月なので、21件を24か月ぶん、504件の点検に付ければ足りる計算になります。この試算の受託82件を毎月まわると年984件なので、同行させれば年数の側は満たせる。成立させるには、その人の給与を年単位で先に払い続けられることが要ります。補助者として同行させた点検がそのまま21件として認められるかどうかの運用は、確かめていません。

顧客──太陽電池発電所を受託先に加える。 告示第三条第三項第二号は、太陽電池発電所及び蓄電所の換算係数に0.25を乗じるとしています。点検の頻度も6月に1回以上で、需要設備の毎月より軽い。同じ33の枠の中で、はるかに多くの件数を持てます。経済産業省の資料によれば、全国の電気保安協会と電気管理技術者協会が外部委託で受託する太陽電池発電所の件数は、約14,000件から約32,000件へ2倍を超えて増えています。成立させるには、1件あたりいくらで受けられるかが要る。点検頻度が需要設備の6分の1なので単価も下がると考えるのが自然ですが、その水準を確かめていません。なお同じ資料は、太陽電池発電所の保守点検について、墜落制止用器具の着用や高所点検カメラ、ドローン活用など安全対策が要る施設が一定数存在し、作業者と監督責任を負う側への負担が大きいとしています。

人の関係──電気工事会社とキュービクルの販売施工業者との関係を、開業より前に作る。 この試算で有償で買える経路は検索の出稿だけで、しかも2時間以内に到達できる範囲に絞られます。件数を金で買えない。いっぽう1件あたりの粗利LTVは3,700,000円で、顧客獲得単価50,000円の74.0倍あります。買えないだけで、1件の価値は厚い。高圧の受電設備が新しくなるのは10年単位なので、その瞬間に工事会社の隣にいられるかどうかで件数が決まります。維持に必要な新規は年4.92件で、月に直すと0.41件。工事会社1社が年5件を回してくれれば、それだけで横ばいは保てる計算です。

販路──自治体と国の機関の入札に参加する。 自治体は複数の施設をまとめて出します。北海道は令和8年度の自家用電気工作物保安管理業務を20件に分けて一般競争入札にかけており、四日市市は令和5年度に市立小学校ぶんを1本の契約8,076,288円、市立中学校ぶんを1本の契約4,276,536円で委託しています。一度にまとまって入る経路はここしかありません。ただし件数が入るということは、担当者1人の33を一気に食うということでもある。設備容量150以上350未満の帯なら、41件で上限に届きます。成立させるには、落とした件数に対して担当者の枠が空いていることが先に要ります。

取らない手

換算値33を超えたまま受託を続ける。 承認の要件は、委託契約の相手方が規則の要件に該当していることです。該当しなくなったときは承認を取り消すことができるとされていて、取り消されると設置者は主任技術者を選任していない状態に戻ります。設置者の側の罰は三百万円以下の罰金。そして取消しに責めに任ずべき者は、その取消しの日から2年を経過しないと要件に該当しません。2年の締め出しは、1件18,375円の貢献では取り返せません。

設置者に絶縁監視装置を付けさせて、換算係数を下げることを営業の目的にする。 国の質疑応答集は「本件は、あくまでも設備内容に応じた換算係数が使用できるという考え方であり、換算係数を減じるために絶縁監視装置等を取り付けることを推奨するものではありません」としています。天井が41件から68件へ動くのは事実ですが、動かすために設備を売る形は取りません。

電気工事も同じ会社で請ける。 内規は、保安業務担当者が保安管理業務以外の職務を兼務しないこととしています。電気工事業を営むには電気工事業の業務の適正化に関する法律に基づく登録または通知が別に要ります。点検で見つけた不具合を自分で直せれば売上は増えますが、この試算が置いた保安業務担当者2名の体制とは別の形になります。

個人事業者のまま人を増やして件数を伸ばす。 規則が個人事業者について定めているのは本人の要件で、33は本人ひとりの合計にかかります。法人のように「保安業務担当者ごとに」とは書かれていない。個人のまま天井を上げる道は、制度の側に用意されていません。個人で41件を持ったときの営業利益は月527,750円で、そこが上限になります。

2時間を超える範囲まで営業に出る。 承認の要件として、主たる連絡場所が事業場に遅滞なく到達し得る場所にあることが求められ、内規はこれを2時間以内としています。遠くの1件を取っても、承認の要件を満たしません。範囲を広げたければ、拠点を増やして担当者を置くことになります。

この商売をどう見るか

これは点検業ではなく、告示の「三十三」を仕入れて売る商売である。売っているのは点検の作業そのものではなく、設置者が電気主任技術者を選任しなくてよくなる状態のほうだ。その状態を作れる人の数が、そのまま売上の上限になる。設備を買っても、車を増やしても、営業を強くしても、33は動かない。

だから問いは「どうやって客を増やすか」ではなく、「33を持てる人を、どうやって手元に用意するか」になる。採るか、育てるか、自分が持ち続けるか。採る相手は免状と実務経験の年数を満たした人に限られ、経済産業省の資料によれば、外部委託の受託先の約3分の2は電気保安協会と電気管理技術者協会が占めている。相手はそこにいる。育てるなら、補助者として点検等に21件従事させると1か月分の実務経験になるという算定の仕方があり、2年で24か月、504件の点検に付ける計算になる。いずれにしても、件数より先に人を用意することになる。

人手不足だから入りやすい、という見立てには注意が要る。経済産業省が令和8年2月に出した資料は、令和5年9月の時点では令和12年度に保安業務従事者が約500人不足する予想だったとしたうえで、制度見直しや業界認知度向上等の取組にくわえスマート保安による圧縮の効果も考慮すれば、令和12年度までに不足が生じないと見込んでいる、としている。第三種の免状取得者も令和5年度以降、それまでの2倍以上に増えている。不足しているから入れるのではない。不足していない側から見れば、それは採用の相手がいるということでもある。この商売で足りないのは人ではなく、人を用意するまでの時間と資金である。

この商売の天井は、告示に書かれた「三十三」を、免状と実務経験の年数を満たした人が何人ぶん持っているかで決まる。1人あたり41件、2人で82件、3人で123件。外すには採るしかなく、採った1人が32件を埋めるまでは、その1人は費用のほうが大きい。

採点の8軸
採点の8軸

始めるなら、何から

始めると決めた人が最初に何をするかであって、始めることを勧めているわけではありません。

  1. 手続き。 いちばん先に確かめるのは、自分の実務経験の年数です。告示が求めているのは、第一種3年、第二種4年、第三種5年。第二種または第三種の交付を受けた後に保安管理業務講習を修了していれば3年、講習と訓練の両方を修了していれば2年。免状の交付を受けた日より前の期間は、その二分の一しか算入されません。年数が足りていなければ、ここで止まります。法人をつくるなら、本店所在地を管轄する法務局へ設立の登記を出します。合同会社の設立の登記の登録免許税は資本金の額の1000分の7で、6万円に満たないときは申請件数1件につき6万円。株式会社は15万円です。承認そのものを申請するのは自分ではありません。申請書を出すのは設置者で、提出先は経済産業大臣、事業場が一つの産業保安監督部の管轄区域内のみにある場合はその所在地を管轄する産業保安監督部長になります。受託する側が用意するのは、執務に関する説明書、委託契約書の写し、要件に該当することを証する書類です。なお、電気事業法が手数料を定めている項目に、この承認は挙げられていません。
  1. 場所と道具の確保。 事務所は、受託する事業場まで車で2時間以内に到達できる場所に置きます。営業に出られる範囲も、採用できる範囲も、この2時間で決まります。機械器具は告示に挙げられています。絶縁抵抗計、電流計、電圧計、低圧検電器、高圧検電器、接地抵抗計、騒音計、振動計、回転計、継電器試験装置、絶縁耐力試験装置。需要設備だけを受託するなら、ただし書により騒音計・振動計・回転計は要りません。継電器試験装置と絶縁耐力試験装置も、必要な場合に使用し得る措置を講じているなら除けます。台数について告示は定めていませんが、国の質疑応答集は、基本的には人数分備え付けることにより支障が生じないことを担保するものとなる、としています。この試算は2人分と車2台で3,500,000円を置きました。推定です。
  1. 仕入れと供給の確保。 この商売の仕入れは、告示の33を持てる人です。自分ひとりなら41件で止まるので、2人目をどこから連れてくるかを先に決めておきます。採るなら、免状と実務経験の年数を満たした人に限られる。育てるなら、免状はあるが年数が足りない人を補助者として同行させる道があります。受託件数のほうは、電気工事会社とキュービクルの販売施工業者を先に押さえます。高圧の受電設備が新しくなるのは10年単位で、その瞬間に隣にいないと呼ばれません。
  1. 受注の窓口の準備。 売り場という形のものはありません。用意するのは、委託契約書のひな型と保安規程の案、そして社内の規程です。委託契約書には保安業務担当者を明確にする旨を記載し、保安業務担当者と、その担当者が指示して点検を行わせる保安業務従事者の氏名及び生年月日並びに主任技術者免状の種類及び番号を別紙等で定めます。契約には、点検の頻度と、災害・事故その他非常の場合における設置者との連絡、相互の義務及び責任その他必要事項を定めます。法人で受けるなら、社内規程に保安管理業務の遂行体制を書きます。内規は、保安業務従事者が法人の役員または従業員であること、保安業務担当者が明確な責任の下に保安管理業務を実施すること、あらかじめ定められた間隔でレビューを行い適切な改善を図ること、保安業務担当者が保安管理業務以外の職務を兼務しないこと、保安業務担当者が事業場の点検を自ら行うことなどを求めています。入札に出るなら、自治体ごとの入札参加資格の登録を先に済ませておきます。
  1. 最初の1件までの順番。 取り返しがつかなくなる箇所が2つあります。ひとつは、実務経験の年数が足りないまま契約を結ぶこと。承認は設置者が受けるので、要件を満たしていなければ設置者の側が主任技術者を選任していない状態に置かれます。設置者の側の罰は三百万円以下の罰金です。もうひとつは、換算値33を数え始める前に件数を取ること。41件目と42件目の間に線があり、超えたら承認は取り消されうる。取消しに責めに任ずべき者は、その取消しの日から2年を経過しないと要件に該当しません。順番としては、年数の確認、法人の設立、機械器具と車、規程と契約書のひな型、そのあとに営業になります。この試算が置いた費用は合わせて4,750,000円。ただし開業時に要るのは1人ぶんで3,200,000円、2人目を入れるときに1,550,000円が追加で要る形にしてあります。

この試算が外れるとしたら

  • 1件あたりの年間委託料240,000円に出典が無い。公的な料金表を見つけられなかった。中立の実額として確かめられたのは自治体の落札額で、四日市市博物館は令和5年度・令和6年度とも759,000円だが、これは公共の大型施設1件の額である。受託する側が公表している料金表は2件見つけたが、いずれも利害関係あり。240,000円が192,000円になると営業利益は705,833円から377,833円へ落ちる
  • 換算係数0.8を82件すべてに当てている。設備容量が150キロボルトアンペア以上350キロボルトアンペア未満に揃うという前提であり、実際の分布を示す公開データを見つけられなかった。1.0に寄ると1人が持てるのは32件、2人で64件になり、同じ単価なら月330,750円が消える
  • 雇用する保安業務担当者の人件費を月523,000円と置いたが、これは令和6年賃金構造基本統計調査の「電気・電子・電気通信技術者(通信ネットワーク技術者を除く)」の企業規模10〜99人・男女計から組んだ。電気主任技術者だけの数字ではなく、保安管理業務に従事する人だけの数字でもない。法定福利費15%にも出典が無い
  • 1件あたりの点検時間1.5時間に出典が無い。移動を含む前提で置いた。経営者作業時間も経営者時給も、ここから出ている。2.0時間なら本人の作業時間は127時間から147.5時間になり、経営者時給は5,558円から4,785円へ落ちる
  • 年次解約率6%も推定である。保安管理業務の委託契約が平均で何年続くのかを示す公開データを見つけられなかった。ただしこの商売は獲得費用が薄いので、解約率が2倍の12%になっても営業利益は10,250円しか動かない
  • 事務所家賃60,000円、機械器具2,000,000円、車1台750,000円、賠償責任保険20,000円、通信とシステム30,000円は、いずれも実額を確認していない
  • 自家用電気工作物の件数は令和2年度末のものである。公表ページに載っている最新がこの年度で、令和3年度以降のものを見つけられなかった。令和8年2月の資料は増加傾向としているが、実数はグラフでしか示されていない。なお令和2年度末の数字そのものは、経済産業省のサイトから直接取得できず、インターネットアーカイブに残っていたファイルを開いて読んだ
  • 外部委託件数の割合「約9割」は経済産業省の資料の記述だが、その分母が何かは本文に書かれていない
  • 法人の代表者が保安業務担当者を兼ねられるかどうかの線を確かめていない。内規は保安業務担当者が保安管理業務以外の職務を兼務しないこととしており、経営や営業がここに当たるかどうかを正面から書いた文書を見つけられなかった。この試算は本人が保安業務担当者として41件を持つ前提で組んでいる
  • 補助者として同行させた点検が、そのまま21件として実務経験に算入されるかどうかの運用を確かめていない
  • 賠償責任保険が実際に引き受けられるかと、その保険料を確認していない
  • 税と借入の返済と本人の生活費を営業利益に入れていない。経営者時給5,558円は、そこを引く前の数字である
  • 立ち上がりの年数を月ならしで消している。標準ケースは開業6年目の姿として置いたが、そこへ至る道筋を年ごとには計算していない。運転資金4,000,000円も、2年ぶんの赤字と生活費というくくりで置いただけである

前提と出典

版のことわり。 机上版です。現地には行っていません。当事者にも聞いていません。法令・省令・告示・内規・質疑応答集は本文そのものを取得して読み、統計は公表元のファイルを開いて読みました。いちばん効く数字である1件あたりの委託料には、公的な出典がありません。

選ばなかった形。 個人事業者として受ける形、太陽電池発電所を主に受託する形、発電所や配電線路まで扱う形、電気工事と保安管理を同じ会社で両方やる形、既にある電気保安法人を買って引き継ぐ形、電気保安協会や電気管理技術者協会に所属して受ける形。いずれも要る資格も、天井の外し方も、1件あたりの手間も変わります。法人をつくって保安業務担当者を雇う形に固定したのは、告示の33が人につくからです。個人事業者の場合は本人ひとりの合計で33、法人の場合は保安業務担当者ごとに33。個人のままでは、天井を外す道が制度の側に用意されていません。

推定した箇所。 1件あたりの年間委託料、受託件数と換算係数の分布、雇用する保安業務担当者の人件費、1件あたりの作業時間、年次解約率と自然流入率と顧客獲得単価、1件あたりの変動費、機械器具と車の額、事務所家賃と賠償責任保険と通信のシステム、運転資金、規程の整備と開業時の営業と法人設立の額。置いた値と前提と弱点は、それぞれの箇所に書いてあります。

まだ分からないこと。 設備容量の分布。委託契約の平均継続年数。絶縁監視装置が付いている高圧需要設備の件数。太陽電池発電所の保安管理業務の委託料。紹介1件あたりに何が支払われているのか。法人の代表者が保安業務担当者を兼ねられるかどうかの線。補助者として同行させた点検が21件として算入されるかどうかの運用。記事の内容ではなく点検の結果に起因する賠償を対象にする保険が引き受けられるかと、その保険料。

出典。 A級12件、B級2件。C級とD級は数値根拠に使っていません。利害関係ありは2件で、いずれも保安管理業務を受託する側が自社について公表している料金表です。

等級出典
Ae-Gov法令検索「電気事業法」
Ae-Gov法令検索「電気事業法施行規則」
A経済産業省「平成十五年経済産業省告示第二百四十九号(電気事業法施行規則第五十二条の二第一号ロの要件等に関する告示)」
A経済産業省「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」
A経済産業省 産業保安・安全グループ電力安全課「主任技術者制度に関するQ&A」(令和8年1月)
A経済産業省「電気保安人材を巡る現状及び今後の課題について」(令和8年2月19日)
A経済産業省「令和2年度末自家用電気工作物設置件数全国計」
A一般財団法人電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験の試験結果と推移」
A厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(職種)第1表
Ae-Gov法令検索「登録免許税法」
A四日市市「令和5年度入札結果(委託)」
A北海道「一般競争入札(令和8年度自家用電気工作物保安管理業務(全20件))の実施について」
B株式会社創電システム「点検基本料金」(受託する側の公表料金)
B日本電気安全協会「電気保安管理費の適正化を」(受託する側の公表会費)

更新履歴。 2026-08-25 初版。公開情報だけで作成しました。誤りの指摘は歓迎します。

出典の構成
出典の構成

許認可・規約

設置者の側に選任の義務がある

事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない(電気事業法第43条第1項)。これに違反して主任技術者を選任しなかったときは、当該違反行為をした者は三百万円以下の罰金に処せられる(同法第118条第7号)。この義務は設置者にかかる。受託する側にかかるのではない。

外部委託で選任しないことができる

電気事業法施行規則第52条第2項は、保安管理業務を委託する契約が次条に規定する要件に該当する者と締結されているものであって、保安上支障がないものとして経済産業大臣(事業場が一の産業保安監督部の管轄区域内のみにある場合は産業保安監督部長)の承認を受けたものについては、電気主任技術者を選任しないことができるとしている。対象は同項第1号から第5号までで、第1号が出力5,000キロワット未満の太陽電池発電所または蓄電所であって電圧7,000ボルト以下で連系等をするもの、第2号が出力2,000キロワット未満の発電所(水力・火力・風力に限る)であって電圧7,000ボルト以下で連系等をするもの、第3号が出力1,000キロワット未満の発電所(前2号を除く)であって電圧7,000ボルト以下で連系等をするもの、第4号が電圧7,000ボルト以下で受電する需要設備、第5号が電圧600ボルト以下の配電線路である。この試算が受託するのは第4号だけである。

申請を出すのは設置者

規則第53条第1項は「第52条第2項又は第3項の承認を受けようとする者は、様式第43の保安管理業務外部委託承認申請書に次の書類を添え、経済産業大臣に提出しなければならない」とし、添える書類として委託契約の相手方の執務に関する説明書、委託契約書の写し、相手方が要件に該当することを証する書類を挙げている。承認を受けるのは設置者であり、受託する側ではない。受託する側は、要件に該当することを証する書類を出す立場になる。なお、電気事業法第112条が手数料を定めているのは、主任技術者免状の交付、電気主任技術者試験、免状の再交付、第55条第4項の審査、第55条の3の認定、第80条第1項の適合性確認、第80条の6において読み替えて準用する第80条第1項の安全管理審査などであり、第52条第2項の承認はここに挙げられていない。

受託する側の要件

規則第52条の2は、事業者の区分に応じて要件を定めている。個人事業者は、イ 電気主任技術者免状の交付を受けていること、ロ 別に告示する要件に該当していること、ハ 別に告示する機械器具を有していること、ニ 保安管理業務を実施する事業場の種類及び規模に応じて別に告示する算定方法で算定した値が別に告示する値未満であること、ホ 保安管理業務の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと、ヘ 承認の取消しにつき責めに任ずべき者であって、その取消しの日から二年を経過しないものでないこと。法人は、イ 保安業務従事者が個人事業者のイ及びロの要件に該当していること、ロ 別に告示する機械器具を有していること、ハ 保安業務従事者であって申請事業場を担当する者(保安業務担当者)ごとに、担当する事業場の種類及び規模に応じて別に告示する算定方法で算定した値が別に告示する値未満であること、ニ 保安管理業務を遂行するための体制が、保安管理業務の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと、ホ・ヘ 取消しに係る二年の制限。法人の要件に、代表者そのものへの免状の要件は置かれていない。

実務経験の年数

平成15年経済産業省告示第249号 第1条第1項は、事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する実務に従事した期間(免状の交付を受けた日前における期間については、その二分の一に相当する期間)が通算して次の期間以上であることを求めている。第一種電気主任技術者免状は3年、第二種は4年、第三種は5年。第二種または第三種の交付を受けた後に自家用電気工作物の保安管理業務に関する講習を修了した者は3年。第二種若しくは第三種の交付を受けた後に講習及び訓練を修了した者、並びに第一種の交付を受けた後に訓練を修了した者は2年。同条第2項は、設備容量が300キロボルトアンペア以下で、受電設備がキュービクル式で、主遮断装置が高圧限流ヒューズと高圧交流負荷開閉器を組み合わせて用いる形式のものだけを扱う場合、それぞれの期間から1年を減じた期間とすることができるとしている。

機械器具

同告示第2条第1項は、絶縁抵抗計、電流計、電圧計、低圧検電器、高圧検電器、接地抵抗計、騒音計、振動計、回転計、継電器試験装置、絶縁耐力試験装置を挙げている。ただし書により、太陽電池発電所・燃料電池発電所・蓄電所・需要設備・配電線路を管理する事業場の保安管理業務のみを実施する場合は第7号から第9号まで(騒音計・振動計・回転計)を除き、必要な場合に使用し得る措置を講じている場合は第10号及び第11号(継電器試験装置・絶縁耐力試験装置)を除く。台数について告示は定めていないが、経済産業省の質疑応答集は「基本的には、人数分備え付けることにより支障が生じないことを担保するものとなります」としている。

天井の数字

同告示第3条第1項は、事業場に応じた換算係数を乗じて得た値(換算値)を合計するとし、第4項で「規則第五十二条の二第一号ニ及び第二号ハの別に告示する値は三十三とする」としている。需要設備の換算係数は、低圧が0.3、高圧は設備容量に応じて64キロボルトアンペア未満0.4、 64以上150未満0.6、150以上350未満0.8、350以上550未満1.0、550以上750未満1.2、 750以上1,000未満1.4、1,000以上1,300未満1.6、1,300以上1,650未満1.8、1,650以上2,000未満2.0、 2,000以上2,700未満2.2、2,700以上4,000未満2.4、4,000以上6,000未満2.6、6,000以上8,800未満2.8、 8,800以上3.0である。配電線路を管理する事業場は0.1。第1項ただし書は、設備容量が64キロボルトアンペア未満の需要設備(非常用予備発電装置を設置するものを除く。小規模高圧需要設備)については、合計した値から十以内の事業場に係る換算値を控除するものとしている。第2項第1号は小規模高圧需要設備の換算係数を0.2とする。第3項第9号は、次条第7号並びに第8号イ及びロの需要設備(小規模高圧需要設備を除く)について、各項に定める換算係数に0.6を乗じた値とするとしている。

点検の頻度

同告示第4条は、需要設備について次のように定めている。第6号 小規模高圧需要設備は3月に1回以上(登録点検業務受託法人が点検業務を受託しているものは6月に1回以上)。第7号 イからニまでの設備条件の全てに適合する信頼性の高い需要設備であって設備容量が 100キロボルトアンペア以下のもの、または低圧受電の需要設備は隔月1回以上。第8号 第7号のイからニまでに適合する需要設備のうち、イ 低圧電路の絶縁状態の適確な監視が可能な装置を有するものなどは隔月1回以上、ロ 遠隔から適確に点検を実施できるよう措置したものは毎月1回以上、ハ 絶縁状態及び負荷の適確な監視が可能な装置を有し主遮断装置等が適切に更新されているものは3月に1回以上。第9号 第7号に適合し、受電設備がキュービクル式で屋内に設置され、蓄電池設備または非常用予備発電装置がないものは3月に1回以上。第10号 第6号から前号までに該当する需要設備以外の需要設備は毎月1回以上。第11号 設置、改造等の工事期間中の需要設備は毎週1回以上。この試算が置いた設備容量150以上350未満の需要設備は、第10号にあたり毎月1回以上である。

年次点検

主任技術者制度の解釈及び運用(内規)4.(7)③イは、年次点検を1年に1回以上行うとし、ただし信頼性が高くロと同等と認められる点検が1年に1回以上行われている機器については、停電により設備を停止状態にして行う点検を3年に1回以上とすることができるとしている。ロは、低圧電路の絶縁抵抗、高圧電路の絶縁、接地抵抗値、保護継電器の動作特性試験と遮断器の連動動作試験、非常用予備発電装置の自動起動と停止、蓄電池設備のセルの電圧・比重・温度、高濃度ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物に該当するかどうかの確認などを挙げている。

到達時間

規則第53条第2項第6号は、委託契約の相手方(法人の場合は保安業務担当者)の主たる連絡場所が当該事業場に遅滞なく到達し得る場所にあることを求めている。内規4.(9)は、この「遅滞なく到達」とは2時間以内に到達することを要することとする、としている。

自ら点検する義務と、その例外の上限

内規4.(4)④は、保安業務担当者は事業場の点検を自ら行うこととし、保安業務従事者に行わせる場合の要件を4つ挙げている。ロは、保安業務担当者が自らは監督を行うこととして事業場の点検の大部分を保安業務従事者に行わせるなど、自ら実施する保安管理業務の内容が形式的なものとなっていないことを求めている。ハは、保安業務従事者が保安業務担当者から指示を受けて点検する事業場については、告示第3条第4項の値を、当該保安業務担当者から職務上の指揮命令関係にある保安業務従事者の総数で除した値、または告示の値に0.2を乗じた値のいずれか小さい方の値を超えないこととしている。0.2を乗じた値は6.6である。 ③は、保安業務担当者は保安管理業務以外の職務(電気工作物の保安に関するものを除く)を兼務しないこととしている。

承認の取消し

規則第53条第5項は、承認を受けた者が同条第2項各号のいずれかに該当しなくなったとき、承認に係る委託契約によらないで保安管理業務を行ったとき、職務誠実義務に違反したとき、不正の手段により承認を受けたときに、経済産業大臣がその承認を取り消すことができるとしている。取消しに責めに任ずべき者は、その取消しの日から2年を経過しないと要件に該当しない(規則第52条の2第1号ヘ・第2号ヘ)。

免状の返納命令

経済産業大臣は、主任技術者免状の交付を受けている者がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反したときは、その主任技術者免状の返納を命ずることができる(電気事業法第44条第4項)。経済産業省の質疑応答集は、要件を満たさずに法人を設立してその役員又は従業員となり「他に職業を有している」とみなされると、規則第53条第3項の職務誠実義務に違反したとして同項に基づく返納命令を受けるおそれもある、としている。

この試算で確かめていないこと

法人の代表者が保安業務担当者を兼ねられるかどうかの線を、正面から書いた文書を見つけられなかった。内規4.(4)③は保安業務担当者が保安管理業務以外の職務を兼務しないこととしている。個人事業者については、質疑応答集が、契約に関する事務・経理に関する事務・業務に関する事務・社会保険に関する事務を「付随事務」として、それを専ら目的とする法人の役員又は従業員になることは原則として兼業に当たらないとしている。法人の保安業務担当者について同じ整理が及ぶかは要確認。賠償責任保険が実際に引き受けられるかと、その保険料も確認していない。

推定で置いた数字の一覧

推定で置いた数字前提
1件あたりの年間委託料
  • 置いた前提:設備容量150キロボルトアンペア以上350キロボルトアンペア未満・毎月点検の需要設備について、月次点検料と年次点検料を合わせて月ならしした額として置いた
  • 弱いところ:公的な料金表を見つけられなかった。受託する側が公表している料金表は、この帯の月点検料を13,000円から17,000円としているが、年次点検料が含まれるかどうかは書かれていない。中立の実額として取れたのは自治体の落札額だけで、施設数が公表されていないため1施設あたりに割り戻せなかった。192,000円(月16,000円)になると営業利益は705,833円から377,833円へ落ちる
受託件数と換算係数
  • 置いた前提:告示第3条第4項の値33を換算係数0.8で割ると41.25なので、1人41件(換算値32.8)とした
  • 弱いところ:41という上限は告示から出るが、設備容量が0.8の帯に揃うという前提には出典が無い。実際の分布を示す公開データを見つけられなかった。1.0の帯に寄ると1人32件、2人で64件になり、同じ単価なら月330,750円が消える
雇用する保安業務担当者の人件費
  • 置いた前提:令和6年賃金構造基本統計調査の「電気・電子・電気通信技術者(通信ネットワーク技術者を除く)」企業規模10〜99人・男女計から、きまって支給する現金給与額376,200円 × 12 + 年間賞与その他特別給与額946,900円 = 5,461,300円とし、法定福利費の事業主負担を15%として6,280,495円、12で割って千円未満を切り捨てた
  • 弱いところ:この職種は電気主任技術者だけを指すものではなく、保安管理業務に従事する者だけの数字でもない。法定福利費15%にも出典が無い。623,000円になると営業利益は100,000円減る
1件あたりの作業時間
  • 置いた前提:取材ではなく、内規4.(7)②③に列挙された点検の項目から置いた
  • 弱いところ:出典が1件もない。経営者作業時間も経営者時給も、ここから出ている。月次2.0時間なら本人の作業時間は127時間から147.5時間になり、経営者時給は5,558円から4,785円へ落ちる
年次解約率と自然流入率と顧客獲得単価
  • 置いた前提:高圧の受電設備が10年単位で使われることから、契約も長いものとして置いた。1件と数えたのは、設置者が承認を受けて委託契約が実際に始まった事業場ひとつである
  • 弱いところ:保安管理業務の委託契約が平均で何年続くかを示す公開データを見つけられなかった。ただしこの商売は獲得費用が薄いので、解約率が12%になっても営業利益は10,250円しか動かず、顧客獲得単価が3倍になっても20,500円しか動かない
1件あたりの変動費
  • 置いた前提:2時間以内に到達できる範囲を月に一巡する前提で置いた
  • 弱いところ:実額を確認していない。2,000円なら月57,400円が増える
機械器具と車の額
  • 置いた前提:告示第2条第1項の機械器具のうち、需要設備のみを受託する場合に要るものを2人分と、継電器試験装置と絶縁耐力試験装置を1組として置いた
  • 弱いところ:出典が1件もない。台数について告示は定めておらず、質疑応答集が「基本的には人数分」としているだけである。耐用年数の当てはめは税務上の判断であり、確認していない
事務所家賃と賠償責任保険と通信・システム
  • 置いた前提:2時間以内に到達できる位置に小さな事務所を置く前提で置いた
  • 弱いところ:いずれも実額を確認していない。賠償責任保険が実際に引き受けられるかも確かめていない
運転資金
  • 置いた前提:開業してから受託が本人1人の天井41件に近づくまでの、およそ2年ぶんの赤字と生活費として置いた
  • 弱いところ:立ち上がりに何年かかるかを年ごとには計算していない。弱気ケースの営業キャッシュフロー月56,750円のマイナスで割ると70か月分にあたるが、これは体制を先に揃えた場合の目減りであって、立ち上がりの谷そのものではない
規程の整備と開業時の営業と法人設立の額
  • 置いた前提:設立の登録免許税60,000円だけは登録免許税法から取り、残りは推定として置いた
  • 弱いところ:規程の整備を外に頼んだ場合の実勢価格を確認していない。畳んだときに戻らない1,250,000円の大半がこの3項目である

出典の一覧

等級出典利害関係原典を確認した日
Ae-Gov法令検索「電気事業法」(昭和三十九年法律第百七十号)
  • 対象:全国/法令本文(e-Gov法令APIで全文を取得)
  • 鮮度:現行法。取得時点の最新版
  • 使ったところ:第四十三条第一項(事業用電気工作物を設置する者は主務省令で定めるところにより主任技術者を選任しなければならない)/同条第二項・第三項/第四十四条第一項(主任技術者免状の種類)・第四項(免状の返納命令)/第百十二条(手数料を納めるべき者の列挙)/第百十八条第七号(第四十三条第一項の規定に違反して主任技術者を選任しなかったときは三百万円以下の罰金)
  • 確認できていないところ:第百十二条に承認の手数料が挙げられていないことは条文で確かめたが、別の政省令に手数料の定めがないかまでは確かめていない
なし2026-08-25
Ae-Gov法令検索「電気事業法施行規則」(平成七年通商産業省令第七十七号)
  • 対象:全国/省令本文(e-Gov法令APIで全文を取得)
  • 鮮度:現行。取得時点の最新版
  • 使ったところ:第五十二条第一項(主任技術者の選任)/同条第二項(外部委託承認で電気主任技術者を選任しないことができる自家用電気工作物の第一号から第五号まで。第四号が電圧七千ボルト以下で受電する需要設備)/同条第四項(兼任の禁止とただし書)/第五十二条の二(受託者の要件。第一号が個人事業者でニに算定値の要件、第二号が法人でハに保安業務担当者ごとの算定値の要件、第一号ヘ・第二号ヘに取消しから二年の制限)/第五十三条第一項(様式第四十三の申請書と添付書類)・第二項第一号から第六号まで(承認の要件。第六号が遅滞なく到達し得る場所)・第三項(職務誠実義務)・第五項(承認の取消し)
なし2026-08-25
A経済産業省「平成十五年経済産業省告示第二百四十九号(電気事業法施行規則第五十二条の二第一号ロの要件等に関する告示)」
  • 対象:全国/告示本文(令和七年三月三十一日経済産業省告示第四十三号までの改正を反映したもの)
  • 鮮度:直近の改正は令和七年四月一日施行
  • 使ったところ:第一条第一項(実務経験の年数。第一種三年・第二種四年・第三種五年・講習修了三年・講習及び訓練修了二年・ダム水路一年、免状交付前の期間は二分の一)/同条第二項(三百キロボルトアンペア以下でキュービクル式でPF・S形なら一年減)/第二条第一項(機械器具十一種とただし書の除外)/第三条第一項(換算係数の表と、ただし書の小規模高圧需要設備について十以内の事業場に係る換算値を控除すること)・第二項(小規模高圧需要設備は〇・二)・第三項(太陽電池発電所及び蓄電所は〇・二五、第四条第七号並びに第八号イ及びロの需要設備は〇・六など)・第四項(別に告示する値は三十三)/第四条(点検頻度。第四号の太陽電池発電所又は蓄電所は六月に一回以上、第六号から第十一号までの需要設備)
  • 確認できていないところ:表の抽出は読み順と座標順の二通りで突き合わせ、行と値の対応が取れた行だけを引用した
なし2026-08-25
A経済産業省「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」
  • 対象:全国/内規本文
  • 使ったところ:4.(2)保安管理業務講習の科目と講習時間/4.(2の2)保安管理業務訓練の科目と訓練時間/4.(3)個人事業者の兼業等(他に職業を有している場合は審査にあたり特に慎重を期する)/4.(4)法人のマネジメントシステム(①保安業務従事者は法人の役員又は従業員であること、③保安業務担当者は保安管理業務以外の職務を兼務しないこと、④保安業務担当者は事業場の点検を自ら行うこと、④ハで告示第三条第四項の値を保安業務従事者の総数で除した値または告示の値に〇・二を乗じた値のいずれか小さい方を超えないこと)/4.(5)委託契約書における保安業務担当者等の明確化/4.(7)②月次点検の要件・③年次点検の要件(イの一年に一回以上とただし書の三年に一回以上、ロの確認項目)・⑥事故又は故障発生時の処置/4.(9)「遅滞なく到達」は二時間以内
なし2026-08-25
A経済産業省 産業保安・安全グループ電力安全課「主任技術者制度に関するQ&A」(令和8年1月)
  • 対象:全国/質疑応答集本文
  • 使ったところ:実務経験の算定(補助者として点検等に従事した場合、設備二十一件の点検等を一月分として期間を算定する。自ら受託して従事する方法との併用も可)/機械器具の台数(基本的には人数分備え付けることにより支障が生じないことを担保するものとなる)/告示第四条第八号に該当する需要設備の換算係数は設備規模に応じた換算係数に〇・六を乗じた数値であり、換算係数を減じるために絶縁監視装置等を取り付けることを推奨するものではない/電気管理技術者が付随事務を担わせる法人を設立して役員又は従業員となる場合の兼業の扱いと、要件を満たさない場合に免状の返納命令を受けるおそれ/兼業の証明は自己証明書の添付
なし2026-08-25
A経済産業省 大臣官房産業保安・安全グループ電力安全課「電気保安人材を巡る現状及び今後の課題について」(令和8年2月19日・資料1-2)
  • 対象:全国/審議会提出資料
  • 鮮度:令和8年2月19日
  • 使ったところ:自家用電気工作物は増加傾向にあるが外部委託件数の割合は約9割から大きな変動はないこと/太陽電池発電所の外部委託件数が約14,000件から約32,000件へ2倍を超えて増加していること/外部委託受託先の約3分の2は電気保安協会・電気管理技術者協会で、10年前と比べてその割合は減少し、その他電気保安法人・その他電気管理技術者が増加していること/協会系に所属する電気主任技術者は減少傾向にあったが令和6年度から増加傾向に転じていること/電気主任技術者免状取得者は令和5年度以降、第三種がそれまでの2倍以上に増加したこと/令和3年度から令和6年度までに廃止届出があった電気主任技術者認定校は合計31校であること/令和5年9月時点では令和12年度に保安業務従事者が約500人不足する予想だったが、制度見直しや業界認知度向上等の取組にくわえスマート保安による圧縮の効果も考慮すれば令和12年度までに不足が生じないと見込んでいること
  • 確認できていないところ:件数と人数のグラフに数値ラベルが付いておらず、実数として取れたのは本文に書かれた記述だけである。「約9割」の分母も本文に書かれていない
なし2026-08-25
A経済産業省「令和2年度末自家用電気工作物設置件数全国計(産業保安監督部別・規模別)」
  • 対象:全国/令和2年度末時点
  • 鮮度:令和2年度末。経済産業省の一覧ページに載っている最新がこの年度で、令和3年度以降のものは見つけられなかった
  • 使ったところ:全国計924,057件/低圧51,997件(5.6%)/高圧861,391件(93.2%。50キロワット未満98,167件、50キロワット以上500キロワット未満686,421件、500キロワット以上1,000キロワット未満51,913件、1,000キロワット以上24,890件)/特別高圧10,669件(1.2%)
  • 確認できていないところ:経済産業省のサイトから直接取得できなかったため、インターネットアーカイブに残っていた同一URLのファイルを開いて読んだ。表の抽出は座標順と読み順と別ライブラリの三通りで突き合わせ、行と値の対応が一致することを確かめた。規模別の区分は電力(キロワット)で、告示の換算係数が使う設備容量(キロボルトアンペア)とは別の単位である
なし2026-08-25
A一般財団法人電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験の試験結果と推移」
  • 対象:全国/昭和60年度から令和7年度まで
  • 鮮度:令和8年4月更新
  • 使ったところ:合格者数の推移。令和3年度4,357人/令和4年度は上期2,793人と下期4,514人の合計7,307人/令和5年度は上期4,683人と下期5,211人の合計9,894人/令和6年度は上期4,064人と下期4,117人の合計8,181人/令和7年度は上期3,201人と下期3,164人の合計6,365人
なし2026-08-25
A厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(職種)第1表 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
  • 対象:全国/産業計/2024年(令和6年)/公開日2025-03-17
  • 使ったところ:「電気・電子・電気通信技術者(通信ネットワーク技術者を除く)」の企業規模10〜99人・男女計で、年齢46.7歳、勤続12.8年、所定内実労働時間162時間、超過実労働時間12時間、きまって支給する現金給与額376,200円、所定内給与額343,700円、年間賞与その他特別給与額946,900円、労働者数4,911(十人)/企業規模計(10人以上)はきまって支給する現金給与額478,900円、年間賞与その他特別給与額1,805,200円
  • 確認できていないところ:この職種は電気主任技術者だけを指すものではなく、保安管理業務に従事する者だけの数字でもない
なし2026-08-25
Ae-Gov法令検索「登録免許税法」(昭和四十二年法律第三十五号)
  • 対象:全国/法令本文(e-Gov法令APIで全文を取得)
  • 使ったところ:別表第一 第二十四号(一)イ(株式会社の設立の登記は資本金の額の千分の七。これによつて計算した税額が十五万円に満たないときは申請件数一件につき十五万円)/同(一)ハ(合同会社の設立の登記は資本金の額の千分の七。六万円に満たないときは申請件数一件につき六万円)/同(一)ロ(合名会社若しくは合資会社又は一般社団法人等の設立の登記は一件につき六万円)
なし2026-08-25
A四日市市「令和5年度入札結果(委託)」
  • 対象:三重県四日市市/令和5年度と令和6年度の委託契約の結果
  • 使ったところ:四日市市中学校自家用電気工作物保安管理業務委託4,276,536円/四日市市小学校自家用電気工作物保安管理業務委託8,076,288円/市庁舎及び総合会館自家用電気工作物保安業務委託2,317,920円/博物館自家用電気工作物保安管理は令和5年度が予定価格770,000円で落札額759,000円、令和6年度が予定価格891,000円で落札額759,000円/中部・楠地区市民センターの自家用電気工作物保守管理業務委託は令和6年度の予定価格825,000円に対して落札額561,662円
  • 確認できていないところ:小学校と中学校の契約に含まれる施設の数が資料に書かれておらず、1施設あたりの額を出せなかった。三重県の令和4年度公立学校数の資料も当たったが、表の抽出で行と値の対応が取れなかったため使っていない
なし(発注側の自治体が公表した結果)2026-08-25
A北海道「一般競争入札(令和8年度自家用電気工作物保安管理業務(全20件))の実施について」
  • 対象:北海道/令和8年度
  • 使ったところ:自治体が自家用電気工作物保安管理業務を20の地区に分けて一般競争入札にかけていること/添付の委託費積算調書に、事業場ごとの設備容量・予備発電装置・点検内容(月次点検(隔月)・年次点検・臨時点検他)・設備区分が記載されていること
  • 確認できていないところ:積算調書の単価欄と金額欄は空欄で、入札者が記入する様式だった。単価は取れていない
なし(発注側の自治体が公表した資料)2026-08-25
B株式会社創電システム「点検基本料金」
  • 対象:北九州市・北部九州・下関/1社が公表している参考の基準価格
  • 使ったところ:高圧受電設備の設備容量別の月点検料の目安。44キロボルトアンペア以下7,000円から/100から124キロボルトアンペア11,000円から/150から174キロボルトアンペア13,000円から/200から249キロボルトアンペア15,000円から/300から399キロボルトアンペア17,000円から/500から599キロボルトアンペア21,000円から/1,000から1,299キロボルトアンペア30,000円から
  • 確認できていないところ:「おおよその基準価格」「設備によって変動いたします」と注記されており、実際の契約額ではない。年次点検料が含まれるかどうかも書かれていない
あり(保安管理業務を受託する側が自社について公表している料金表)2026-08-25
B日本電気安全協会「電気保安管理費の適正化を」
  • 対象:全国/1団体が公表している年会費の区分
  • 使ったところ:受電設備契約区分別の年会費(月次点検は隔月で年6回、年次点検1回を含む)。A1(50から69キロワット・64から91キロボルトアンペア)10万円から/A2(70から99キロワット・92から141キロボルトアンペア)12万円から/A3(100から199キロワット・142から309キロボルトアンペア)16万円から/A4(200から299キロワット・310から509キロボルトアンペア)21万円から/A5(300から499キロワット・510から987キロボルトアンペア)27万円から/B(50キロワット未満・63キロボルトアンペア未満)6万円
  • 確認できていないところ:同じ表に「他の電気保安協会」の水準として並ぶ数字があるが、その出どころは書かれていない。数値根拠には使っていない
あり(保安管理業務を受託する側が自社について公表している会費表であり、自社を安いと位置づける文脈で示されている)2026-08-25

訂正の受付

数字の誤りや、現場と違う点にお気づきの方は教えてください。訂正して更新の記録に残します。

数字が大きく動いたときは、更新ではなく訂正として扱い、変更前の値を残したまま更新履歴に記録します。

本コンテンツは公開情報と一定の仮定に基づく試算です。特定企業の実際の利益を示すものではなく、地域・規模・経験・時期によって結果は変わります。出典・計算条件・更新日は商売解剖図鑑に掲載します。