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焼き芋とスイカのカット販売
移動販売・埼玉県/車1台・本人1名・給水と廃水のタンクは各約80リットル・飲食店営業(自動車)の許可1件
机上版現場サービス・設備投資型無店舗BtoC許認可あり
調査日 2026-08-10 / 原典を確認した日 2026-08-10

現地には行っていません。公開されている情報と、そこから組んだ試算だけで書いています。実額の裏取りが済んだら検証版として更新します。
初期投資
275万円
幅 150〜500万円
月の営業利益(標準)
90,740円
弱気 ▲11,089円 / 強気 215,161円
経営者の時給(標準)
522円
月 174時間
投資の回収(標準)
18か月
個人事業としての点数
47 / 100
自分の資金と時間で始めて、自分が回す商売として
事業としての点数
27 / 100
人と仕組みで、本人から離れて大きくなるか
この商売はどういうものか
車に焼き芋の機械と保冷の設備を積んで、その場で焼いた芋と、切ったスイカを売る商売です。店は持たず、売る場所はそのつど借ります。寒い時期は焼き芋、暑い時期はスイカと、季節で売るものを入れ替えます。売上は、その日止まった場所の人通りと、売れた数で決まります。
この試算で見ている形
- 規模:移動販売車1台(中古の軽トラックをもとに業者が架装)。給水・廃水タンクは各約80リットル。
- 体制:本人1名・従業者なし。
- 地域・立地:埼玉県。県の熊谷保健所の管内(熊谷市・深谷市・寄居町)に車庫と仕込み場所を置く。売り場は郊外のロードサイドの私有地、スーパーとドラッグストアの軒先、農産物直売所の前、住宅街の巡回、イベント。
- 営業の形:飲食店営業(自動車)の許可を熊谷保健所で1件受ける。道路上では売らない。11月〜3月は焼き芋、6月〜9月はスイカのカット、4月・5月・10月は生の青果。
- 売上の作り方:稼働日数と1日あたりの販売点数と1点あたりの平均単価を掛け合わせた額が月商になります。
- この試算に含めていないもの:所得税と住民税、消費税、国民年金と国民健康保険、車両を借入で買う場合の返済。
想定した人と、その一年
勤めを辞めて、車を1台だけ持つ人を置きました。焼くのも切るのも売るのも自分ひとりです。十一月、朝いちばんに芋を洗って積み、昼前には煙が上がっている。寒い日ほどよく売れるので、風の出る夕方がいちばん忙しい。年が明けても同じ日が続き、三月の終わりごろから、急に足が止まります。四月と五月は、焼き芋の機械に火を入れない日が増える。そのあいだに夏の場所を探して電話をかけ、会いに行き、断られ、また別の相手にかける。六月に入ると、今度は氷の仕事になります。前の晩に仕入れ、朝のうちに洗い、車の中で切って、容器に詰め、保冷して、その日のうちに売り切る。売れ残ったものは翌日には出せません。八月が過ぎ、九月の暑さが抜けると、また止まる。十月はどちらでもない月で、車は動いているのに、売っているものが変わってしまう。そして一年でいちばん取り返しがつかないのは、車を作ったあとです。積める水の量で車の中でできることが決まり、その量はあとから足せません。以上は試算のために置いた姿であって、実在の誰かではありません。
結論
先に、この試算が何の上に乗っているかを置いておきます。
ひとつは仕入れ値です。令和7年の主要卸売市場計で見ると、かんしょは焼き芋の季節(11月から3月)の加重平均が1キログラム280円、すいかは夏(6月から9月)の加重平均が273円でした。ほぼ同じ水準です。この2つを、それぞれ280円と300円(すいかは仲卸を通す分を乗せました)で仕入れる置き方をしています。
もうひとつは気温です。熊谷の平年値(1991年から2020年)では、日最高気温が30℃以上になるのは年62.6日で、そのうち7月に18.5日、8月に23.1日。35℃以上になるのは年18.1日しかなく、7月と8月の16.5日が91.2%を占めます。暑い日は、思っているより少ない。
この形だと、焼き芋の5か月とスイカの4か月で、年は9か月しか埋まりません。
理由は、2つの季節の性格が違うからです。かんしょは年間を通して市場にあり、卸売価格の高い月と安い月の差は1.36倍しかありません。つまり焼き芋の季節は、物が無い季節ではなく、寒くない季節です。すいかは逆で、取扱数量が12月の124トンから7月の32,607トンまで263倍動きます。こちらは物のある季節です。片方は気温で決まり、もう片方は産地で決まる。2つは同じ物差しの上に載っていません。
| 期 | 月数 | 稼働日/月 | 1日の点数 | 平均単価 | 月商 | 月の営業利益 | 端境期を1とした月商の倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 焼き芋期(11月〜3月) | 5 | 20日 | 60点 | 380円 | 456,000円 | 108,987円 | 3.17倍 |
| スイカ期(6月〜9月) | 4 | 20日 | 70点 | 529円 | 740,000円 | 216,867円 | 5.14倍 |
| 端境期(4月・5月・10月) | 3 | 12日 | 30点 | 400円 | 144,000円 | ▲107,841円 | 1.00倍 |
| 年計 | 12 | — | — | — | 5,672,000円 | 1,088,880円 | — |
端境期の3か月は、合わせて323,523円のマイナスになります。年間の営業利益1,088,880円の29.7%を、この3か月が食っている計算です。
で、この商売はどういうものか
焼き芋の5か月とスイカの4か月で、年の9か月は埋まります。残る3か月は、この試算では月107,841円のマイナスでした。標準ケースの営業利益は月90,740円ですが、作業時間は月平均174時間で、時給に直すと522円。埼玉県の最低賃金1,141円の45.8%です。いちばん良い条件(月22日・猛暑と寒波が両方来て、スイカ期は応援を外注する)でも1,030円で、最低賃金には届きませんでした。数字だけで選ぶ商売ではありません。産地や仕込み場所や出店先の当てが先にあるとか、年のうち3か月は別のことをすると決めているとか、お金の計算とは別のところに理由があるなら、成り立つ形です。
標準ケースの経営者時給は522円。始めるのに要るのは3,349,600円。投じた額が戻るのは18か月の見込みです。
これは「埼玉県の熊谷保健所の管内に車庫と仕込み場所を置き、給水と廃水のタンクを各約80リットルにした移動販売車を1台、本人1人で、11月から3月は焼き芋、6月から9月はスイカのカット、 4月・5月・10月は生の青果を売る」という形についての見立てです。タンクを各約200リットルにして車内での仕込みまで広げる形、各約40リットルにして単一品目に絞る形、焼き芋だけで半年動かす形、固定の店舗を持つ形、複数台に増やして人を雇う形、自分で芋やスイカを作って売る形は、初期投資も原価率も季節の埋まり方も変わります。この試算は、そこを見ていません。もうひとつ、営業許可と営業届出のどちらに当たるかについて、公表資料の書きぶりが分かれています。この試算は許可を取る側で組みました。届出で足りるなら、初期投資と5年ごとの費用がその分軽くなります。

ここが面白い
季節が真逆でも、年は9か月しか埋まらない
焼き芋は寒いほど、スイカは暑いほど売れます。だから1台で年間動かせる。それがこの組み合わせの理屈でした。ところが月別に並べ直すと、埋まったのは9か月でした。焼き芋が11月から3月までの5か月、スイカが6月から9月までの4か月。残る4月・5月・10月の3か月は、この試算では月107,841円のマイナスになります。3か月で323,523円。年間の営業利益1,088,880円の29.7%を、この3か月が食っている計算です。
2つの季節は、性格が違います。令和7年の主要卸売市場計では、かんしょの卸売価格は1キログラム267円から362円のあいだで動き、いちばん高い月といちばん安い月の差は1.36倍しかありません。数量も年間を通してあります。つまり焼き芋の季節は、物が無い季節ではなく、寒くない季節です。すいかは逆で、価格は256円から493円の1.93倍ですが、取扱数量は12月の124トンから7月の32,607トンまで263倍動きます。こちらは物のある季節です。需要でできた季節と、供給でできた季節。2つは同じ物差しの上に載っていません。
穴が埋まらないのは、車も人も1つずつしかないからです。固定費123,633円は、出られない月も同じだけ出ていきます。端境期の3か月に生の青果を売って残るのは、固定費を引く前で47,376円。そこに使う時間は312時間なので、時間あたり152円です。同じ312時間を埼玉県の最低賃金1,141円で働けば355,992円になり、7.51倍。この3か月は、利益のためではなく、場所と客をつなぎとめるために出ていることになります。
焼き芋とスイカのカットは、国の同じ通知の同じリストに並んでいる
国の通知は、野菜果実販売業に附帯的に行う簡易な加工の例に、焼き芋とスイカのカットを並べて挙げています。制度の側では、この2つはもともと同じ引き出しに入っていました。
埼玉県では、許可は1枚で県内どこでも回れる
県と県内政令中核市の申し合わせで、令和3年6月1日以降に県内のいずれかで許可を受けた自動車は、令和4年6月1日から県内全域で営業できます。さいたま市も川越市も川口市も越谷市も、この1枚で入れます。
数字で見る
初期費用
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 車両(中古の軽トラックをもとに業者が架装・給水と廃水のタンク各約80リットル仕様) | 1,800,000円(推定) |
| 焼き芋機(LPガス式)とボンベ | 250,000円(推定) |
| 冷蔵・保冷設備と発電機 | 350,000円(推定) |
| 飲食店営業(自動車)の許可の申請手数料 | 17,600円(実額) |
| 食品衛生責任者の養成講習会 | 12,000円(推定) |
| 仕込み場所の初期費用(保証金) | 100,000円(推定) |
| 車体のデザイン・のぼり・値札・看板 | 120,000円(推定) |
| 什器(まな板・包丁・保冷ボックス・はかり・釣銭・決済端末) | 100,000円(推定) |
| 合計 | 2,749,600円 |
| 運転資金(別枠) | 600,000円(推定) |
| 所要資金 | 3,349,600円 |
公式の額として確かめられたのは、いちばん下の17,600円だけです。埼玉県の熊谷保健所とさいたま市が同じ額を公表しており、川口市も飲食店営業を17,600円としています。さいたま市は継続(更新)を14,000円としています。営業届出には手数料がかかりません。
上の3行、車両と焼き芋機と冷蔵・保冷設備で2,400,000円。初期投資の87.3%です。ここに出典はありません。この領域には車両を売る立場・貸す立場・開業を支援する立場の発信が非常に多く、中立な価格の資料を見つけられませんでした。
そしてこの3行には、この商売の性格がそのまま出ています。焼き芋機250,000円が動くのは11月から3月までの5か月、冷蔵・保冷設備と発電機350,000円が動くのは6月から9月までの4か月。合わせて600,000円の設備が、それぞれ年の半分以下しか使われません。それでも減価償却58,333円は12か月出ます。2つの季節を持つということは、2つぶんの設備を持つということでした。

客がどこから来るか
店を持たないので、通行量を自分では持てません。客はその場を通りかかった人で、こちらから探しには行けない。しかも季節で客層が入れ替わるので、焼き芋の期に良い場所とスイカの期に良い場所は同じとは限りません。年に2回、場所を探し直すことになります。
| 経路 | 届く相手 | 交渉相手 | 費用の性格 | 弱点 |
|---|---|---|---|---|
| 郊外のロードサイドの私有地 | その道を車で通る人 | 地権者、敷地を持つ店舗の運営会社 | 固定の場所代か歩合 | 1件切れると点数がそのまま消える |
| スーパー・ドラッグストアの軒先 | その店の買い物客 | 店長、本部 | 歩合(推定) | 本部の判断で一斉に切れる |
| 農産物直売所の前 | 直売所に来た人 | 直売所の運営者 | 固定か歩合 | 直売所自身が生の芋とスイカを売っている |
| 住宅街の巡回 | 歩いて来る近隣の人 | 止める場所の地権者 | 燃料だけ | 道路上に止めるなら警察署長の許可が要る |
| イベント・マルシェ | そのイベントの来場者 | 主催者 | 出店料(要一次情報) | 来場者数を自分で動かせない。中止がある |
| 高齢者施設・団地・企業の敷地 | そこで暮らす人、働く人 | 施設の管理者 | ゼロから紹介料まで | 担当者が変わると切れる |
| 交流サイトでの告知 | すでにこの車を知っている人 | — | 時間 | 新しい客を連れてこない |
金を払って買えるのは、実質的に出店にかかる費用だけです。この試算では全体をならして売上の8%と置きました。標準ケースで年453,760円、月平均37,813円。1点あたりの平均単価447円のうち35.8円が場所の側へ渡り、1点あたりの貢献利益202.7円に対して17.7%にあたります。
販売促進費はゼロにしました。有償で買える広告枠を使わない前提だからです。客を連れてくるのは出店場所であり、その費用は出店にかかる費用として変動費に入っています。ここに広告費を別に立てると二重計上になります。
売上の作り
月商 = 稼働日数 × 1日あたりの販売点数 × 1点あたりの平均単価。標準ケースの年間の販売点数は12,680点、年商5,672,000円で、1点あたりの平均単価は447円です。
仕入れた重さが、そのまま売れるわけではありません。
| 品目 | 仕入れの単位 | 売る単位 | 歩留まり | 1点の原価 | 1点の売価 | 原価率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 焼き芋 | 生の芋 411g | 焼き芋 320g | 78%(傷み5%+焼き減り18%) | 115円 | 380円 | 30.3% |
| スイカ 1/4カット(皮つき) | 丸ごと 1,500g | 1,500g | 100% | 450円 | 1,000円 | 45.0% |
| スイカ カップ(皮と種を落とす) | 丸ごと 333g | 可食部 200g | 60% | 100円 | 400円 | 25.0% |
すいかの60%は、成分表の廃棄率40%(果皮及び種子)の裏返しです。こちらは実額が取れました。焼き芋の78%のほうは違います。日本食品標準成分表には、さつまいもの「焼き」の重量変化率が載っていません。載っているのは皮つき蒸し99%、皮なし蒸し98%、皮つき天ぷら98%だけで、成分表は「焼き」の成分値について「市販品の分析値及び四訂成分表収載値に基づき決定した」と書いています。生から焼いた前後を測った値ではないのです。焼き芋が焼くと減ることは広く言われていますが、公的な資料でその率を確かめることは、この調査ではできませんでした。 表の82%は、皮なし生の水分65.6グラムと皮なし焼きの水分58.1グラムから、固形分が変わらないものとして当方が計算した値です。
月別に見る
| 月 | 期 | 稼働日 | 1日の点数 | 月商 | 月の営業利益 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1月 | 焼き芋 | 20日 | 60点 | 456,000円 | 108,987円 |
| 2月 | 焼き芋 | 20日 | 60点 | 456,000円 | 108,987円 |
| 3月 | 焼き芋 | 20日 | 60点 | 456,000円 | 108,987円 |
| 4月 | 端境期 | 12日 | 30点 | 144,000円 | ▲107,841円 |
| 5月 | 端境期 | 12日 | 30点 | 144,000円 | ▲107,841円 |
| 6月 | スイカ | 20日 | 70点 | 740,000円 | 216,867円 |
| 7月 | スイカ | 20日 | 70点 | 740,000円 | 216,867円 |
| 8月 | スイカ | 20日 | 70点 | 740,000円 | 216,867円 |
| 9月 | スイカ | 20日 | 70点 | 740,000円 | 216,867円 |
| 10月 | 端境期 | 12日 | 30点 | 144,000円 | ▲107,841円 |
| 11月 | 焼き芋 | 20日 | 60点 | 456,000円 | 108,987円 |
| 12月 | 焼き芋 | 20日 | 60点 | 456,000円 | 108,987円 |
| 年計 | — | 216日 | 12,680点 | 5,672,000円 | 1,088,880円 |
いちばん良い月と、いちばん悪い月の差は月商で5.14倍。営業利益では、プラス216,867円とマイナス107,841円のあいだで324,708円ひらきます。月平均の90,740円という数字は、12か月のどこにも存在しません。
端境期を切り出すと、こうなります。
| 端境期の3か月(4月・5月・10月) | 金額 |
|---|---|
| 売上 | 432,000円 |
| 変動費(原価・容器・燃料・出店の費用) | 362,160円 |
| 廃棄の引当 | 22,464円 |
| 固定費を引く前に残る額 | 47,376円 |
| 固定費(123,633円 × 3か月) | 370,899円 |
| 営業利益 | ▲323,523円 |
| この3か月に使う時間 | 312時間 |
| 固定費を引く前の、時間あたり | 152円 |
3か月動いて、固定費を引く前に残るのが47,376円。312時間を使って時間あたり152円です。埼玉県の最低賃金1,141円で同じ312時間を働くと355,992円になるので、7.51倍の差がつきます。
だからこの3か月は、稼ぐために出ているのではありません。場所と客をつなぎとめるために出ています。
毎月のコスト
| 費目 | 標準ケース(月平均) |
|---|---|
| 減価償却(車両を3年・焼き芋機と冷蔵設備を6年) | 58,333円(試算) |
| 仕込み場所の利用料 | 30,000円(推定) |
| 車両の保管場所 | 10,000円(推定) |
| 保険(自動車と生産物賠償責任) | 8,000円(推定) |
| 車検と整備の積立 | 8,000円(推定) |
| 通信費と会計ソフト | 5,000円(推定) |
| 洗剤と消耗品 | 4,000円(推定) |
| 営業許可の更新(5年で割った月割) | 300円(試算) |
| 固定費 合計 | 123,633円 |
| 変動費(原価・容器・燃料・出店の費用) | 246,447円(売上高の52.1%) |
| 販売促進費 | 0円 |
| 廃棄の引当 | 11,847円 |
固定費の47.2%が減価償却です。車両1,800,000円を3年、焼き芋機と冷蔵・保冷設備の計600,000円を6年で割りました。3年にしたのは、耐用年数省令の別表第一が「その他特殊車体を架装したもの」の小型車(総排気量が二リットル以下)を三年としており、軽トラックの総排気量が〇・六六リットル以下だからです。ただし移動販売車がこの区分に当たるかどうかは税務上の判断で、確認していません。四年で置き直すと減価償却は月8,333円減ります。
所得税と住民税、消費税、国民年金と国民健康保険、車両を借入で買う場合の返済は、この試算に入っていません。

3ケース〔試算〕
季節で構造が変わるので、3つのケースはいずれも年間を12で割った月平均です。
| 弱気 | 標準 | 強気 | |
|---|---|---|---|
| 前提 | 暖冬と冷夏が同じ年 | — | 猛暑と寒波が両方来る年 |
| 焼き芋期 | 月20日・1日35点 | 月20日・1日60点 | 月22日・1日80点 |
| スイカ期 | 月20日・1日45点 | 月20日・1日70点 | 月22日・1日95点 |
| 端境期 | 月6日・1日15点 | 月12日・1日30点 | 月16日・1日45点 |
| 年商 | 3,358,000円 | 5,672,000円 | 9,114,880円 |
| 売上高(月平均) | 279,833円 | 472,667円 | 759,573円 |
| 変動費 | 152,753円 | 246,447円 | 382,009円 |
| 固定費 | 123,633円 | 123,633円 | 123,633円 |
| 外注費 | 0円 | 0円 | 26,667円 |
| 廃棄の引当 | 14,536円 | 11,847円 | 12,103円 |
| 月の営業利益 | ▲11,089円 | 90,740円 | 215,161円 |
| 年間の営業利益 | ▲133,066円 | 1,088,880円 | 2,581,938円 |
| 営業利益率 | ▲4.0% | 19.2% | 28.3% |
| 経営者の作業時間 | 月153時間 | 月174時間 | 月209時間 |
| 経営者の時給 | ▲72円 | 522円 | 1,030円 |
| 埼玉県の最低賃金1,141円に対して | — | 45.8% | 90.3% |
| 回収にかかる月数 | 58か月 | 18か月 | 10か月 |
弱気ケースは、暖冬と冷夏が同じ年に来た場合です。2品持っていることは、どちらかが当たる保険にはなりますが、両方が外れる年を消してはくれません。年間の営業利益は133,066円のマイナスになります。
強気ケースでも、端境期は月69,361円のマイナスのままでした。売れる季節をどれだけ伸ばしても、売るものが無い月は動きません。
そして3つのケースのどれでも、経営者の時給は埼玉県の最低賃金1,141円に届きませんでした。いちばん良い条件で1,030円、111円足りない。

どこまで行けば黒字か〔試算〕
| 基準 | 月の販売点数 | 月商 | 標準ケース比 |
|---|---|---|---|
| 営業利益ゼロ | 610点 | 272,600円 | 57.7% |
| 所要資金3,349,600円を24か月で回収 | 1,011点 | 451,700円 | 95.6% |
| 経営者時給が埼玉県の最低賃金1,141円に届く | 1,589点 | 710,300円 | 150.4% |
| 月の営業利益30万円 | 2,090点 | 934,100円 | 197.5% |
出し方はこうです。1点あたりの平均単価447円から、変動費52.1%と廃棄の引当2.5%を引くと、貢献利益は202.7円。固定費123,633円をこれで割ると月610点になります。
ただしこの表は、点数を平らにならしています。実際の1点あたりの貢献は、焼き芋期が218.9円、スイカ期が268.3円、端境期が139.0円。同じ1点でも1.9倍の差があります。どの季節の1点かで、分岐点までの距離が変わります。
3行目には条件が付きます。作業時間を月174時間、外注をゼロのままにした場合の水準です。強気ケースの月商759,573円はこの710,300円を上回りますが、作業時間が209時間に伸び、スイカ期に外注費が乗るため、時給は1,030円にとどまりました。

何が一番効くか〔試算〕
| 変数 | 動かす幅 | 標準ケースの営業利益への影響(月平均) |
|---|---|---|
| 稼働日数(焼き芋期・スイカ期) | +2日(月20日→22日) | +21,041円 |
| 仕入れ単価 | +10% | ▲17,441円 |
| 車両の取得額 | +500,000円 | ▲13,889円 |
| スイカ期の1日の販売点数 | +10%(70→77点) | +12,516円 |
| 焼き芋期の1日の販売点数 | +10%(60→66点) | +10,942円 |
| 出店にかかる費用の率 | +2ポイント(8%→10%) | ▲9,453円 |
| 焼き芋の重量変化率 | 82%→75% | ▲5,500円 |
| 端境期の3か月を休む | 月12日→0日 | ▲3,948円 |
| スイカのカップの廃棄率 | 12%→6% | +2,200円 |
上の3行が大きいのですが、性格が違います。稼働日数と仕入れ単価は開業したあとも動かせます。車両の取得額は、タンクの容量を決めた時点でほぼ決まってしまう。
4行目と5行目の対比も見ておく価値があります。同じ1割でも、スイカ期のほうが14.4%大きい。1点あたりの貢献がスイカ期268.3円、焼き芋期218.9円と違うためです。売れる点数を増やすなら、夏に増やすほうが効きます。
下から2行目は、この表の中で性格がひとつだけ違います。端境期の3か月を休むと利益は年47,376円減りますが、作業時間は年312時間減る。時間あたりで見ると521円が585円になり、12.3%上がります。利益をほとんど落とさずに時間だけを外せる、この試算で唯一の行です。

採点 47点/100
| 評価軸 | 点 | 満点 |
|---|---|---|
| 利益性 | 6 | 20 |
| 初期投資 | 8 | 15 |
| 回収速度 | 9 | 15 |
| 再現性 | 8 | 15 |
| 営業難易度 | 4 | 10 |
| 運営難易度 | 4 | 10 |
| 将来性・AI耐性 | 6 | 10 |
| 法規・事故リスク | 2 | 5 |
| 総合 | 47 | 100 |
点数は「儲かる順位」ではなく、自分の資金・地域・スキルで比べるための目安です。
投資の回収

こういう人なら向いている/やめたほうがいい
先に、土俵に立つための条件です。人柄の話ではありません。
| 最低限の要件 | 根拠 |
|---|---|
| 所要資金3,349,600円を用意でき、うち2,400,000円は戻らない前提で置ける | 初期投資2,749,600円と運転資金600,000円で3,349,600円。このうち車両1,800,000円、焼き芋機250,000円、冷蔵・保冷設備と発電機350,000円で2,400,000円になり、初期投資の87.3%を占めます。しかも焼き芋機は年5か月、冷蔵・保冷設備は年4か月しか動きません |
| 埼玉県内に、車庫と仕込み場所と出店場所の3つを押さえられる | 仕込み場所は月30,000円、車庫は月10,000円で置きました。出店にかかる費用は売上の8%で、標準ケースでは年453,760円。固定費123,633円は、出られない月も同じだけ出ていきます |
| 焼き芋の5か月とスイカの4か月に、月20日・1日9〜11時間を動ける体がある | 作業時間は焼き芋期が月180時間、スイカ期が月220時間、端境期が月104時間で、年2,092時間、月平均174時間。標準ケースの営業利益1,088,880円をこれで割ると時給522円になります |
| 4月・5月・10月の3か月、赤字を持ち出せる | 端境期3か月の営業利益は月107,841円のマイナス、3か月で323,523円のマイナス。運転資金600,000円はそのおよそ1.85倍にあたります |
4つとも、金と場所と体で決まります。1つでも欠けるなら見送りです。満たしていても、その場所でその日に何点売れるかは別の話です。
向いている(5つのうち4つ以上。ただし「3か月、稼げない月を計画のうちに置ける」は必須)
| 資質 | なぜ要るか |
|---|---|
| 設備の半分が遊んでいることに、いちいち腹を立てない | 焼き芋機は11月から3月までの5か月、冷蔵・保冷設備と発電機は6月から9月までの4か月しか動きません。合わせて600,000円の設備が、それぞれ年の半分以下しか使われない。それでも減価償却58,333円は12か月出ます。「2つやれば2倍」ではなく、「2つ持つから12か月分の固定費がかかる」という形をしています |
| 売れ残りを、その日のうちに損として確定できる | カットしたスイカは翌日に出せません。廃棄の引当は年142,164円で、年間の営業利益1,088,880円の13.1%。スイカ期だけで年85,200円です。値下げして売り切るか、捨てるかを、その日の夕方に決めることになります |
| 3か月、稼げない月を計画のうちに置ける | 端境期の3か月は月107,841円のマイナス。3か月で323,523円になり、年間の営業利益の29.7%を食います。しかもこの3か月に生の青果を売って残るのは、固定費を引く前で47,376円。312時間を使って時間あたり152円です。「動いていれば何かにはなる」と思って動くほど、時間だけが減ります |
| 天気予報を、売上の予報として読める | 熊谷の平年値では、日最高気温が30℃以上になるのは年62.6日で、7月に18.5日、8月に23.1日。35℃以上は年18.1日で、7月と8月の16.5日が91.2%を占めます。1日1.0ミリ以上の雨が降る日は年95.7日、暦日の26.2%。暑い日と寒い日と雨の日で、同じ場所の点数がまったく変わります |
| 場所の相手に、毎年2回、頭を下げ続けられる | 出店にかかる費用は売上の8%で年453,760円ですが、場所は自分のものではありません。しかも季節で客層が入れ替わるので、焼き芋の期に良い場所とスイカの期に良い場所は同じとは限らない。年に2回、探し直すことになります |
やめたほうがいい(1つでも当てはまるなら見送り)
| 資質 | なぜ要るか |
|---|---|
| 年間の平均で考える | 標準ケースの月平均営業利益は90,740円ですが、季節別ではスイカ期が月216,867円、焼き芋期が月108,987円、端境期が月107,841円のマイナスです。90,740円という月は、12か月のどこにも存在しません |
| 仕入れた重さが、そのまま売れると思っている | すいかの可食部の割合は60%です(成分表の廃棄率40%=果皮及び種子)。皮と種を落としたカップ1点200グラムを作るには、丸ごとで333グラムが要ります。焼き芋のほうも、生の芋1キログラムから売れるのは820グラムという置き方をしました |
| 時給を見ないで手取りだけ見る | 標準ケースの営業利益は月90,740円ですが、作業時間は月平均174時間。時給に直すと522円で、埼玉県の最低賃金1,141円の45.8%になります。いちばん良い条件でも1,030円で、最低賃金には届きません |
| 猛暑と寒波が、両方来る前提で計画する | 弱気ケース(暖冬と冷夏が同じ年に来る)の年間の営業利益は133,066円のマイナス、経営者時給は72円のマイナスです。2品持っていることは、どちらかが当たる保険にはなりますが、両方が外れる年を消してはくれません |
| 車を作ってから、売るものを決めようとする | 埼玉県の条例は、自動車で調理をする場合の貯水設備を約40リットル・約80リットル・約200リットルの3段で定めています。熊谷保健所は80リットルの条件に「複数品目を取り扱うこと」を挙げており、焼き芋とスイカの2品目を売る時点で40リットルでは足りません。タンクの容量はあとから足せず、上の段に移せば車格が上がります。車両の取得額が500,000円上がると、減価償却は月13,889円増えます |
どこに活路があるか
どれも試していません。前半は感度分析と損益分岐から逆算しただけの案、後半はこの試算の外側にある選択肢で、実額の裏づけはありません。
この試算の中で動かす
1. 仕入れ単価を1割下げる。営業利益が19.2%増える計算
原価は焼き芋期が月138,000円で5か月、スイカ期が月245,000円で4か月、端境期が月93,600円で3か月、合わせて年1,950,800円です。1割で195,080円。廃棄の引当は原価に比例するので、年142,164円の1割で14,216円。合わせて209,296円を12で割ると月17,441円になります。月平均の営業利益90,740円に足して108,181円。感度分析で、費用側でいちばん大きく動く行がここです。ただし卸売価格そのものは自分では動かせないので、動かせるのは買い方のほうになります。
2. 稼働日数を月20日から22日へ増やす。営業利益が23.2%増える計算
焼き芋期は月商が456,000円から501,600円へ1割増え、変動的な費用の率42.41%を引いた26,261円が乗ります。燃料が3,000円増えるので純増は23,261円。5か月で116,305円。スイカ期は月商が740,000円から814,000円へ増え、変動的な費用の率49.26%を引いた37,548円が乗り、燃料3,500円を引いて34,048円。4か月で136,192円。合わせて年252,497円、月平均21,041円で、営業利益は111,781円になります。ただし2日増やすには、その2日ぶんの出店枠が要ります。金で買える部分ではありません。
3. スイカ期の1日の販売点数を70点から77点へ。営業利益が13.8%増える計算
月商740,000円が814,000円へ74,000円増えます。スイカ期の変動的な費用は原価245,000円、容器39,000円、出店にかかる費用59,200円、廃棄21,300円で計365,500円、売上比49.26%。残る50.74%が乗るので、1か月あたり37,548円、4か月で150,192円、月平均12,516円です。焼き芋期で同じ1割を取ると年131,305円なので、スイカ期のほうが14.4%大きい。1点あたりの貢献がスイカ期268.3円、焼き芋期218.9円と違うためです。伸ばすなら夏です。
4. 端境期の3か月を休む。利益は4.4%しか減らないのに、時間は312時間空く計算
端境期の3か月は、売上432,000円、変動費362,160円、廃棄の引当22,464円で、固定費を引く前に47,376円しか残りません。これを捨てると年間の営業利益は1,088,880円から1,041,504円へ、4.4%減ります。いっぽう作業時間は月104時間×3か月の312時間がまるごと消える。時間あたりで見ると、1,088,880円÷2,092時間の520.5円が、1,041,504円÷1,780時間の585.1円になり、12.3%上がります。利益をほとんど落とさずに時間だけを外せる、この試算で唯一の行です。
この試算の外に出る
1. 端境期の3か月に、国の通知が同じリストに載せている品目を入れる〔商品〕
令和元年12月27日付けの通知が野菜果実販売業の附帯的な加工として挙げた例には、焼き芋のほかに、ボイル竹の子、焼きトウモロコシ・茹でトウモロコシ、焼き栗が並んでいます。竹の子は春、とうもろこしは夏、栗は秋にあたるので、このリストだけで4月・5月・10月に置ける品目が並んでいることになります。逆算はこうです。端境期3か月の固定費は123,633円×3で370,899円。いまの端境期の貢献は3か月で47,376円なので、あと323,523円が要る。標準ケースの貢献利益率45.35%で割ると、3か月で713,393円、月237,798円の売上が必要になります。いまの端境期の月商144,000円の1.65倍です。成立させるには、端境期の月商を144,000円から237,800円へ引き上げること。ただし竹の子・とうもろこし・栗の卸売価格も、端境期に何点売れるかも確かめていません。焼き栗とゆで竹の子を車内で作ることが埼玉県の条例でいう何工程に当たるかも確認していない。品目が増えるだけなら「複数品目」の側に留まりますが、工程が増えれば200リットルの側に寄ります。
2. 営業届出で足りるかどうかを、車を作る前に保健所へ当てる〔制度〕
国の通知は、焼き芋とスイカのカットを、野菜果実販売業に附帯的に行う簡易な加工として営業届出の範疇に挙げています。届出には手数料がかかりません。いっぽう埼玉県とさいたま市は、自動車で調理を行い販売するには営業許可が必要としています。逆算はこうです。届出で足りるなら、初期投資から申請手数料17,600円が消え、さいたま市が公表している継続14,000円も消える。さらに、法第54条の施設基準は施行令第35条各号の営業について定められているので、給水・廃水タンクの容量の3区分もかからないことになります。金額より構造に効く話です。成立させるには、生の青果の販売が主で、焼く・切るがそれに附帯していると認められること、密封包装をせず、販売当日中に消費するか使い切ることを想定した売り方に収めること。ただし焼き芋とカットスイカだけを売り、生の青果を扱わない形が「附帯的」に入るかは、通知の文言からは決まりませんでした。自動車で行う場合に届出で足りるとした自治体の公表資料も見つけられていません。無許可で営業すれば二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金なので、自分で読んで決める種類の論点ではありません。
3. 前日までの注文でつくる分を増やす〔顧客〕
廃棄の引当は年142,164円で、年間の営業利益1,088,880円の13.1%にあたります。内訳はスイカ期が年85,200円、焼き芋期が年34,500円、端境期が年22,464円。注文を受けてから切る分、焼く分については、この引当がゼロに近づきます。逆算はこうです。廃棄の半分が消えれば年71,082円、月平均5,924円が営業利益に戻る。全部消えれば年142,164円で、営業利益は1,231,044円へ13.1%増える計算になります。成立させるには、注文で動く客を、いまの点数の一定割合まで作ること。ただし移動販売で予約がどれだけ取れるかを示す公開データを見つけられませんでした。予約を受けると、その日その場所に必ず行かなければならなくなるので、雨天や場所の都合で流れたときの扱いも決めていません。
4. 通りかかりの客ではなく、施設の敷地へ横づけする〔販路〕
出店にかかる費用は売上の8%で、標準ケースでは年453,760円。高齢者施設や団地や企業の敷地は、この費用がゼロから紹介料までの幅に収まる経路として置きました。逆算はこうです。8%がまるごと消えれば年453,760円、月平均37,813円が営業利益に戻り、90,740円から128,553円へ41.7%増える。ただし通りかかりの人がいなくなるので、1日の点数がその分落ちます。落ちてよい上限は、貢献利益率45.35%で割り戻して売上の17.6%まで。成立させるには、施設へ移した分の点数の落ち込みを17.6%以内に収めること。施設が受け入れる条件も、1施設あたり何点売れるかも確かめていません。団地や施設の敷地が道路交通法上の道路に当たるかどうかの当てはめも確認していません。
5. 端境期の312時間を、外で働く時間に振り替える〔体制・時間〕
端境期3か月の貢献は、固定費を引く前で47,376円。使う時間は312時間で、時間あたり152円になります。同じ312時間を埼玉県の最低賃金1,141円で働くと355,992円。7.51倍です。差の308,616円は、端境期3か月の赤字323,523円のほぼ全額にあたります。逆算はこうです。端境期を休んで外で働けば、営業利益は年1,088,880円から1,041,504円へ47,376円減りますが、外での収入が355,992円入るので、手元は308,616円増える計算になります。成立させるには、3か月だけ働ける仕事があること。ただし3か月だけの仕事が実際に取れるかを確かめていません。端境期に休むと、焼き芋の期に戻ったときに出店枠と客が残っているかも分かりません。枠が切れる確率を示すデータは見つけられませんでした。
数字は動くが、取らない手
タンクを約200リットルにして、車内での洗浄と仕込みまで広げる。 埼玉県の条例は、比較的大量の水を要する営業について「一日の営業において約二百リットルの水を供給し、かつ、廃水を保管することのできる貯水設備」を求めています。給水と廃水で合わせて最大400キログラムになり、軽トラックには積めません。車格が上がって取得額が500,000円上がると、減価償却は月13,889円増え、標準ケースの営業利益90,740円の15.3%が消える計算です。
道路上に止めて売る。 場所を移動しないで道路に露店等を出すには、場所を管轄する警察署長の許可が要ります。埼玉県警察は審査手数料を1申請2,500円とし、不許可でも中止でも返金しないとしています。申請先は場所ごとの警察署なので、毎日違う場所に止めるなら、そのつど申請することになる。違反は三月以下の拘禁刑又は五万円以下の罰金です。この試算は私有地と施設の敷地だけで組みました。
カットしたスイカを密封包装して、翌日も売る。 国の通知が営業届出の範疇に置いた簡易な加工は、「簡易な包装(密封包装でないものに限る。)による販売(販売当日中に消費する又は使い切ることを想定したもの)」に限られています。密封して日持ちさせる方向は、この枠の外に出る。出た先がどの業種に当たるかは確認していません。廃棄の引当を減らす効果は年142,164円ですが、線の向こう側にあります。
複数の果物を混ぜたカップにして単価を上げる。 食品表示基準の別表第二は、野菜と果実の「単に切断したもの」を生鮮食品に含めています。単一のスイカを切っただけなら生鮮食品で、名称と原産地を近接した掲示で示せばよい。異なる種類を混ぜたものがどちらに当たるかは、条文の文言からは決まりませんでした。単価を上げる効果より、表示の義務がどこまで増えるか分からないことのほうが重い。
2台目を買って人を雇う。 この試算は車1台・本人1名です。いちばん良い条件(月22日・猛暑と寒波が両方来て、スイカ期は応援を外注する)でも、経営者時給は1,030円で、埼玉県の最低賃金1,141円に届きません。1台で最低賃金に届かない仕事を台数で増やす形は、この試算では見ていません。
この商売をどう見るか
これは飲食業ではなく、青果の小売です。売っているのは料理ではなく、焼くことと切ることを足した青果にすぎません。国の通知が焼き芋とスイカのカットを野菜果実販売業の附帯的な加工の例に並べているのも、たぶんそういうことです。だから比べる相手は飲食店ではなく、同じものを売っている店と直売所になります。直売所の前に止まれば、その直売所は生の芋と丸ごとのスイカを売っている。こちらの取り分は、焼いた分と切った分しかありません。
立てるべき問いは「何を売るか」ではなく「1年のカレンダーのどこが空くか」です。2品では9か月しか埋まりませんでした。埋めるために品目を足すと、こんどは車の側に線が引かれます。埼玉県の条例は自動車で調理をする場合の貯水設備を3段で定めており、熊谷保健所は80リットルの条件に「複数品目を取り扱うこと」を挙げている。品目を増やすことと、車を大きくすることが、同じ話につながっています。
時間の形も見ておきます。標準ケースの作業時間は年2,092時間、月平均174時間で、営業利益1,088,880円を割ると時給522円。埼玉県の最低賃金1,141円の45.8%です。しかもその174時間は、月ごとに大きく違う。スイカ期は月220時間、端境期は月104時間です。いちばん働く月がいちばん稼ぐ月と一致しているのは救いですが、いちばん働かない月にも固定費123,633円は同じだけ出ます。
この商売の天井は、いちばん良い条件(月22日・猛暑と寒波が両方来て、スイカ期は応援を外注する)まで届いても、経営者時給が1,030円で止まるところにあります。埼玉県の最低賃金1,141円に111円足りません。
この試算の限界も書いておきます。車両1,800,000円、焼き芋機250,000円、冷蔵・保冷設備350,000円に出典は1件もありません。1日に何点売れるかにも出典がない。確かめられたのは、法令と条例と通知、許可の申請手数料17,600円、道路使用許可の審査手数料2,500円、卸売価格の月別の動き、熊谷の気象の平年値、すいかの廃棄率40%、埼玉県の最低賃金1,141円です。制度と外の条件は硬く、車と点数はやわらかい。

始めるなら、何から
始めることを勧める節ではありません。ここまでを読んで「やる」と決めた人が、最初に何を、どの順番でやるのかだけを書きます。特定の車両業者・架装業者・スクール・代行サービスは挙げません。金額と日数は、法令と官公庁が公開しているもので確かめられた分だけを書きます。確かめられなかったものは、確認先だけを添えて空けたまま残します。
1. 手続き
まず保健所へ、車を買う前に。 埼玉県は、キッチンカーの申請にあたり「自動車の保管場所」又は「営業予定場所」を管轄する保健所に事前に相談するよう求めています。さいたま市は「必ず事前に(施設の工事が始まる前)図面をもって相談にご来所ください」としています。熊谷保健所は、相談の際に自動車の図面、提供する飲食物とその調理工程、下処理を行う場合はその場所、の3つを示すよう求めています。
この最初の相談で、次の2つを必ず確かめます。ひとつは、この売り方が営業許可と営業届出のどちらに当たるか。令和元年12月27日付けの国の通知は、焼き芋とスイカのカットを野菜果実販売業に附帯的に行う簡易な加工の例に挙げています。いっぽう埼玉県とさいたま市は、自動車で調理を行い販売するには営業許可が必要としています。許可を受けずに営業すれば二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金、届出をしなければ五十万円以下の罰金です。もうひとつは、給水・廃水タンクの容量。熊谷保健所は、40リットル程度は単一品目のみ、80リットル程度は複数品目を取り扱うこと、としています。
飲食店営業(自動車)の許可。 申請は食品衛生申請等システム(厚生労働省)で行います。熊谷保健所は原則として紙での申請を受け付けていません。営業施設情報の「施設の住所」欄には相談先の保健所の管轄内の営業予定地を、「備考」欄には自動車の保管場所、給水タンクの容量、排水タンクの容量を記載し、図面を添付します。提出書類は自動車の図面、水質検査成績書(水道水以外を使う場合)、車検証、食品衛生責任者の資格を証明するもの、腸内細菌検査の結果、衛生管理計画書。その後、営業に使う自動車を保健所へ持ち込んで検査を受けます。熊谷保健所は駐車場で実際に営業を行う状態を確認するとし、手洗い設備の流水と電気機器の通電を確認するため、貯水と電源を自分で用意するよう求めています。新規の申請手数料は17,600円。許可書の交付には1週間程度かかり、営業は許可日から行えます。さいたま市は継続(更新)を14,000円としています。
営業の範囲。 令和3年6月1日以降に県内のいずれかの自治体で許可を受けた自動車は、令和4年6月1日から県内全域で営業できます。埼玉県と県内政令中核市の申合せによるものです。令和3年5月31日以前の許可は従来どおりの範囲になります。
食品衛生責任者。 食品衛生監視員又は食品衛生管理者の資格要件を満たす者、調理師・製菓衛生師・栄養士・管理栄養士など、又は都道府県知事等が行う講習会もしくは適正と認める講習会を受講した者です。埼玉県は、申請時に該当者がいない場合、2か月以内に受講する旨の誓約書を提出させるとしています。受講料は確認できませんでした。実施団体に確かめてください。
道路上で売るなら。 場所を管轄する警察署長の道路使用許可が要ります。埼玉県警察はこれを3号許可とし、審査手数料を1申請2,500円としています。申請書2通、位置図2通、見取り図2通、行為を説明する資料2部。受付は月曜日から金曜日の午前9時00分から午後4時15分まで、申請場所を管轄する警察署の交通課です。審査手数料なので、不許可でも中止でも返金されません。違反は三月以下の拘禁刑又は五万円以下の罰金です。私有地は地権者の許可、公園は管理者の許可になります。埼玉県内の公園の使用条件と料金は自治体ごとに違い、確認していません。
表示とはかり。 単に切っただけのカットスイカも、丸ごとのスイカも、生の芋も生鮮食品にあたります。ばら売りでも名称と原産地を、製品に近接した掲示その他の見やすい場所に表示します。焼き芋を重さで売るなら、取引に使うはかりの扱いを確かめてください。取引又は証明における計量には検定に合格した特定計量器等でなければ使用できず、違反は六月以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金です。はかりがこれに当たるかを定める政令は、この試算では確認していません。
2. 場所・道具の確保
要るのは3つ。車、仕込み場所、出店場所です。
車は給水・廃水のタンクが各約80リットル。埼玉県の条例により、自動車で調理をする場合は床面の不浸透性材質と内壁の腰張り、排水設備、便所、更衣場所の基準が適用されません。越谷市は、営業時に調理を行う区画を開放しなければならない構造(販売窓等がない構造)や、粘着テープ等で固定した一時的な構造では基準を満たさないとし、手洗設備は洗浄消毒装置を備えた流水式で、水栓は自動水栓・押しボタン式・レバー式・フットペダル式などの再汚染防止構造である必要があるとしています。熊谷保健所は、車体のパワーウインドウや跳上式扉は販売窓として使用できないとし、調理は屋外では実施できず厨房内で完結するよう計画することを求めています。
道具は、焼き芋機(LPガス式)とボンベ、保冷設備と発電機、まな板と包丁、使い捨ての容器、はかり、釣銭、キャッシュレス決済の端末。仕込み場所は、別に許可または届出のある施設を借ります。焼き芋機と保冷設備は、それぞれ年の半分以下しか動きません。それでも両方を最初に買うことになります。
3. 仕入れ・供給の確保
押さえるのは2本あります。焼き芋期のさつまいもと、スイカ期のすいかです。
令和7年の主要卸売市場計(旬別)で見ると、かんしょは1キログラム267円から362円のあいだで動き、焼き芋の季節(11月から3月)の加重平均は280円。すいかは256円から493円で、夏(6月から9月)の加重平均は273円。2つはほぼ同じ水準です。違うのは数量のほうで、かんしょは月3,774トンから8,968トンと2.4倍の幅に収まりますが、すいかは12月の124トンから7月の32,607トンまで263倍動きます。
つまりさつまいもは年中買えて、すいかは買える月が限られる。最初に押さえるべきは、すいかの側です。さつまいもは焼き芋にする品種と貯蔵の状態で仕上がりが変わりますが、その差を示す公開データは見つけられませんでした。
4. 売る場所・受注の窓口の準備
郊外のロードサイドの私有地、スーパーとドラッグストアの軒先、農産物直売所の前、住宅街の巡回、イベント、施設の敷地。この試算は出店にかかる費用を全体でならして売上の8%として計算に入れましたが、経路ごとの実際の料率を示す公開データは見つけられませんでした。
季節で客層が入れ替わるので、焼き芋の期の枠とスイカの期の枠を、別々に押さえることになります。道路上に止めるなら道路使用許可が要ります。なお道路交通法上の道路には、不特定の人や車が自由に通行できる場所が含まれるとされています。
5. 最初の1件までの順番
- 売るものと、その日の車内の工程を書き出す。焼き芋は焼くだけ、スイカは切るだけ、洗いは仕込み場所。
- 車の図面を用意し、車庫または営業予定地を管轄する保健所へ相談する。ここで許可か届出かを確かめる。
- タンクの容量を確定する。この試算は各約80リットル。品目が2つある時点で40リットルでは足りない。
- 仕込み場所を決める。別に許可または届出のある施設であること。
- 食品衛生責任者の資格を用意する。無ければ誓約書を出し、2か月以内に受講する。
- 車を作る。または架装済みの車を買う。
- 食品衛生申請等システムで申請し、自動車を保健所へ持ち込んで検査を受ける。手数料17,600円。
- 許可書の交付を受ける。営業は許可日から行える。
- 出店場所を押さえる。私有地なら地権者、施設なら管理者、道路なら警察署。
- 仕入れ先を押さえる。すいかは買える月が限られるので、こちらを先に決める。
- 名称と原産地の掲示を用意する。はかりを使うなら計量法の扱いを確かめる。
順番を間違えると違法になります。 7と8を飛ばして売れば無許可営業で、二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金。道路上で許可を受けずに売れば三月以下の拘禁刑又は五万円以下の罰金です。
順番を間違えると車を作り直します。 2と3を飛ばして車を作ると、タンクの容量が足りずに作り直しになる。さいたま市も熊谷保健所も、購入・改造の前に相談するよう求めているのはこのためです。
順番を間違えると1シーズン飛びます。 この商売の売り時は年に2回しかありません。許可書の交付まで1週間程度、その前に事前相談と車の製作がある。11月に間に合わなければ、次の売り時は6月です。
公式の額として確かめられたのは3つだけです。飲食店営業(自動車)の新規許可の申請手数料17,600円、継続(更新)14,000円、道路使用許可の審査手数料1申請2,500円。営業届出には手数料がかかりません。日数として確かめられたのは、許可書の交付までおよそ1週間(熊谷保健所)、申請から交付まで調査終了日からおおむね2週間(川口市)です。車両も設備も仕込み場所の費用も、この試算では推定です。初期投資の合計は2,749,600円、運転資金は別に600,000円、所要資金は3,349,600円。事前相談から車が仕上がるまでの日数は確認していません。
この試算が外れるとしたら
- 1日あたりの販売点数(焼き芋期60点/スイカ期70点/端境期30点)。 出典が1件もありません。売上式の中心にあたる数字です。場所ごとの人通りも、そのうち何割が買うかも確認していません。スイカ期で1割動くと年150,192円、焼き芋期で1割動くと年131,305円動きます。上にも下にも外れます。
- 車両1,800,000円・焼き芋機250,000円・冷蔵と保冷設備350,000円。 出典が1件もありません。合わせて2,400,000円で、初期投資の87.3%を占めます。この領域には車両を売る立場・貸す立場・開業を支援する立場の発信が非常に多く、中立な価格の資料を見つけられませんでした。車両の取得額が500,000円上がると減価償却は月13,889円増え、標準ケースの営業利益90,740円の15.3%が消えます。
- 焼き芋の重量変化率82%。 日本食品標準成分表には、さつまいもの「焼き」の重量変化率が載っていません。載っているのは皮つき蒸し99%、皮なし蒸し98%、皮つき天ぷら98%です。成分表は「焼き」の成分値について「市販品の分析値及び四訂成分表収載値に基づき決定した」としており、生から焼いた前後を測った値ではありません。この試算の82%は、皮なし生の水分65.6グラムと皮なし焼きの水分58.1グラムから、固形分が変わらないものとして当方が計算した値です。水以外も減るなら、実際の歩留まりはこれより低い。75%まで下がると年66,000円、月平均5,500円の営業利益が消えます。下振れの方向に外れやすい項目です。
- 仕入れ単価(さつまいも280円/キログラム・すいか300円/キログラム)。 卸売価格は出典で取れましたが、それは市場での卸売の価格であって、移動販売がいくらで買えるかではありません。さつまいもは焼き芋期の加重平均280円をそのまま置き、すいかは夏の加重平均273円に1割弱を乗せて300円としました。1割動くと月平均17,441円、標準ケースの営業利益の19.2%が動きます。
- 出店にかかる費用を売上の8%と置いたこと。 経路ごとの実際の料率を示す公開データを見つけられませんでした。2ポイント動くと年113,440円、月平均9,453円が動きます。しかも実際には、歩合の場所と固定の場所と無償の場所が混ざるはずで、8%という1本の率は、その混ざり方を隠しています。
- 稼働日数(焼き芋期・スイカ期が月20日、端境期が月12日)。 出典がありません。熊谷の平年値では1日1.0ミリ以上の雨が降る日は年95.7日、暦日の26.2%ですが、この26.2%をそのまま中止率にはしていません。中止の判断は場所と主催者によって違うためです。2日増えると月平均21,041円、23.2%動きます。
- 季節の区切り方(焼き芋11月〜3月/スイカ6月〜9月/端境期4月・5月・10月)。 気温と卸売数量から置いた区切りであって、実際の売れ方を確かめたものではありません。熊谷の日平均気温は10月17.6℃、11月11.7℃、4月13.9℃、5月18.8℃。すいかの卸売数量は5月10,228トン、9月2,420トンです。この境目を1か月ずらすだけで年間の営業利益は大きく動きます。たとえば10月を焼き芋期に入れると、端境期は2か月になり、端境期の赤字は323,523円から215,682円へ縮みます。
- 廃棄率(焼き芋5%・カップ12%・1/4カット6%)。 出典がありません。カットした果物の売れ残り率を示す公開データを見つけられませんでした。引当は年142,164円で、年間の営業利益1,088,880円の13.1%にあたります。カットしたものの日持ちを考えると、上振れする側に外れやすい。
- 経営者作業時間(年2,092時間・月平均174時間)。 出典がありません。焼き芋期は1日9時間、スイカ期は1日11時間、端境期は1日7時間と月20時間の交渉時間として置きました。経営者時給522円はこの174時間で割った値なので、月200時間なら454円、月150時間なら605円になります。
- 許可と届出の切り分け。 国の通知と県・市の案内の書きぶりが一致しておらず、公表資料だけでは決められませんでした。この試算は重いほうの許可を取る前提で組んでいるので、届出で足りるなら初期投資は17,600円分だけ軽く、5年ごとの14,000円も要らなくなります。いっぽう給水タンクの容量の3区分もかからないことになり、車両の仕様と取得額の前提そのものが変わります。この項目は、金額よりも構造に効きます。
- 税と借入を入れていない。 所得税・住民税・消費税・国民年金・国民健康保険は入れていません。車両を借入で買う場合の返済も入れていません。入れれば手残りは下振れします。判断は税理士に確かめてください。
- 出典の埋まり方。 A級22件で、埋まったのは法令と条例と国の通知、許可と道路使用許可の手数料、卸売価格の月別、気象の平年値、すいかの廃棄率、最低賃金です。商売の中の数字――車両と設備の価格、1日の販売点数、売価、仕入れ単価、出店にかかる費用の率、廃棄率、作業時間――には出典が1件もありません。制度と外の条件だけが硬く、車と点数がやわらかいという偏り方をしています。
前提と出典
選ばなかった形
給水・廃水を各約200リットルにして車内での洗浄や仕込みまで広げる形、各約40リットルにして単一品目に絞る形、焼き芋だけで半年動かして残りを休む形、スイカだけを夏に売る形、固定の店舗を持つ形、複数台に増やして人を雇う形、車両をレンタルする形、フランチャイズに加盟する形、さいたま市・川越市・川口市・越谷市の4つの保健所設置市に車庫と仕込み場所を置く形、自分で芋やスイカを作って売る形。いずれも初期投資も、許可の窓口も、原価率も、季節の埋まり方も変わります。
熊谷保健所の管内に固定したのは、県の保健所がキッチンカーの給水タンクの容量の区分と申請手数料を公表しており、同じ地点の気象の平年値も公表されているからです。
推定した箇所
| 項目 | 置いた値 | 前提と弱点 |
|---|---|---|
| 1日あたりの販売点数 | 焼き芋期60点/スイカ期70点/端境期30点 | 出典なし。売上式の中心。 スイカ期の1割で年150,192円動く |
| 車両・焼き芋機・冷蔵と保冷設備 | 1,800,000円/250,000円/350,000円 | 出典なし。合わせて初期投資の87.3%。中立な価格の資料が見つからなかった |
| 焼き芋の重量変化率 | 82% | 成分表に焼きの重量変化率は載っていない。 水分から当方が計算した値 |
| 仕入れ単価 | さつまいも280円/すいか300円(1キログラム当たり) | 卸売価格は実額だが、移動販売が買える値ではない |
| 売価 | 焼き芋1本380円/1/4カット1,000円/カップ400円 | 出典なし。比べられる公開値が見つからなかった |
| 出店にかかる費用 | 売上の8% | 出典なし。歩合と固定と無償が混ざるはずで、1本の率が混ざり方を隠している |
| 稼働日数 | 焼き芋期・スイカ期は月20日/端境期は月12日 | 出典なし。雨の日は年95.7日(暦日の26.2%)だが中止率とは別 |
| 季節の区切り | 焼き芋11月〜3月/スイカ6月〜9月/端境期4月・5月・10月 | 気温と卸売数量から置いた。1か月ずらすと結論が動く |
| 廃棄率 | 焼き芋5%/カップ12%/1/4カット6%/端境期8% | 出典なし。引当は年142,164円で営業利益の13.1% |
| 固定費(減価償却を除く) | 月65,300円 | 営業許可の更新の月割以外、すべて出典なし |
| 耐用年数 | 車両3年/焼き芋機と冷蔵設備6年 | 省令の区分は確認したが、移動販売車がどれに当たるかは税務上の判断で未確認 |
| 経営者作業時間 | 焼き芋期180時間/スイカ期220時間/端境期104時間 | 出典なし。経営者時給522円はこの分母で決まる |
| 端境期の原価率 | 65% | 出典なし。何をいくらで仕入れて売るかを特定していない |
| 運転資金 | 600,000円 | 出典なし。端境期3か月の赤字323,523円のおよそ1.85倍 |
まだ分からないこと
焼き芋とカットスイカだけを売る形が「野菜果実販売業に附帯的に行う簡易な加工」に入るかどうか/自動車で行う場合に営業届出で足りるとした自治体の運用/食品の洗浄を工程として数えるかどうかの埼玉県での当てはめ/移動販売車の実際の取得価格と架装費/焼き芋機と保冷設備の実際の価格/埼玉県内の食品衛生責任者養成講習会の受講料/出店場所ごとの実際の料率/1日に何点売れるか/カットした果物の実際の売れ残り率/焼き芋の実際の焼き減り/その場で渡す紙袋が「容器包装」に当たるかどうか/異なる種類の果実を混ぜたカップの表示上の扱い/はかりが特定計量器に含まれるかを定める政令/埼玉県内の公園の使用条件と料金/事前相談から車が仕上がるまでの日数。
検証版で埋めるのは、許可と届出の切り分け、1日の販売点数、車両と設備の価格、仕入れ単価、出店にかかる費用の率です。
この分析でできたことと、できなかったこと
できたのは、制度の側です。営業許可と営業届出の枠組みと罰則、許可が要る32業種の一覧に野菜果実の販売業が入っていないこと、国の通知が焼き芋とスイカのカットを同じリストに並べていること、その扱いが「附帯的に行う」ことと「密封包装でない・当日中に消費する」ことの2つに挟まれていること。埼玉県の条例が自動車の貯水設備を3段で定めていること、熊谷保健所が80リットルの条件に「複数品目を取り扱うこと」を挙げていること、自動車では床面と内壁・排水設備・便所・更衣場所の基準が適用されないこと。許可が県内全域で有効になったこと。道路使用許可の種別と手数料。生鮮食品と加工食品の線と、ばら売りでも原産地の掲示が要ること。耐用年数の区分。ここはすべて条文と条例と通知と自治体の公表資料で確かめました。
外の条件も取れました。卸売価格と卸売数量の月別の動き、熊谷の気象の平年値、すいかの廃棄率40%、埼玉県の最低賃金1,141円。
できなかったのは、車と点数です。車両も設備も、1日に何点売れるかも、売価も、出店にかかる費用の率も、出典がひとつもありません。この領域には車両を売る立場・貸す立場・開業を支援する立場の発信が大量にありますが、いずれも利害関係ありとして数値根拠から除きました。
その結果この試算は、「制度と外の条件だけが硬く、車と点数が全部やわらかい」という偏り方をしています。
出典
| 等級 | 出典 |
|---|---|
| A | e-Gov法令検索「食品衛生法」 |
| A | e-Gov法令検索「食品衛生法施行令」 |
| A | e-Gov法令検索「食品衛生法施行規則」 |
| A | 厚生労働省「食品衛生法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政省令の制定について」(令和元年12月27日付け生食発1227第2号) |
| A | 厚生労働省「営業許可制度の見直し及び営業届出制度の創設に関するQ&A」(令和2年12月28日付け事務連絡) |
| A | 埼玉県「食品衛生法施行条例」 |
| A | 埼玉県「キッチンカー(自動車)の営業許可申請」 |
| A | 埼玉県「食品営業を新たに始める方へ」 |
| A | 埼玉県熊谷保健所「キッチンカーの食品営業許可申請」 |
| A | さいたま市「自動車による食品関係営業許可について」 |
| A | 川口市「自動車(キッチンカー)による食品関係営業許可申請について」 |
| A | 越谷市「自動車による飲食店営業の許可申請」 |
| A | e-Gov法令検索「道路交通法」 |
| A | 埼玉県警察「道路使用許可に関する申請手続」 |
| A | e-Gov法令検索「食品表示基準」 |
| A | e-Gov法令検索「計量法」 |
| A | e-Gov法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」 |
| A | 農林水産省「令和7年 青果物卸売市場調査(旬別結果)品目別:主要卸売市場計」 |
| A | 文部科学省「食品成分データベース」 |
| A | 文部科学省「日本食品標準成分表 2020年版(八訂)」本文 |
| A | 気象庁「熊谷(埼玉県)平年値(年・月ごとの値)」 |
| A | 厚生労働省「令和7年度 地域別最低賃金 全国一覧」 |
A級22件、B級・C級・D級は0件です。すべて実URLを開いて原典を確認しました。法令と政令と省令はe-Gov法令検索の全文取得で条文を読み、ただし書と名宛人と罰則の条番号まで当てています。国の通知と事務連絡は厚生労働省のPDFを、条例は埼玉県が公表しているPDFを開きました。卸売価格は農林水産省の旬別のCSVを36本取得し、月別への集計は当方で行っています。
利害関係のあるものは1件もありません。移動販売車の販売・レンタル・開業支援を業とする発信、および特定の産地や事業者を持ち上げる発信は、検索の過程で大量に出てきましたが、すべて利害関係ありとして等級D扱いとし、数値根拠から除外しました。
更新履歴
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2026-08-10 | 初版作成。A級出典22件の原典を確認。商売の形を「埼玉県の熊谷保健所の管内・移動販売車1台・本人1名・給水と廃水のタンク各約80リットル・飲食店営業(自動車)の許可1件・11月〜3月は焼き芋・6月〜9月はスイカのカット・4月・5月・10月は生の青果」に固定し、集客経路7本、3ケース、損益分岐4基準、月別の売上と営業利益、経営者時給、感度分析、採点47点を算出した。季節で構造が変わるため、3ケースはいずれも年間を12で割った月平均とし、月別の姿を別の表で出した。原典確認の過程で、令和元年12月27日付け生食発1227第2号 別添第2の2イが、焼き芋とスイカのカットをいずれも野菜果実販売業に附帯的に行う簡易な加工の例として名指しで挙げていることを確認し、カットした果物には別の許可が要るとしていた下書きを訂正した。ただしこの扱いは「附帯的に行う」ものに限られており、県と市の案内は自動車で調理して販売するなら営業許可としているため、断定せず重いほうの許可を取る前提で組んだ。給水タンクの容量については、熊谷保健所と越谷市が80リットルの条件に「複数品目を取り扱うこと」を挙げており、2品目を売る時点で40リットルでは足りないことを確認した。日本食品標準成分表には焼き芋の重量変化率が載っておらず、成分表が「焼き」の成分値を市販品の分析値に基づき決定したとしていることも確認したため、焼き減りは「見つからなかった」に留め、水分から当方が計算した82%を推定として明示した |
数字の誤りや、実際と違う点にお気づきの方は、訂正をお寄せください。確認のうえ、履歴を残して更新します。

許認可・規約
営業許可の枠組み
都道府県は、公衆衛生に与える影響が著しい営業であつて政令で定めるものの施設につき、厚生労働省令で定める基準を参酌して、条例で、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない(食品衛生法第54条)。この営業を営もうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない(同法第55条第1項)。違反した者は二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金で、併科もある(同法第82条)。第55条ほかにおける「都道府県知事」は、保健所を設置する市又は特別区にあつては「市長」又は「区長」とする(同法第76条)。埼玉県内で保健所を設置しているのは、さいたま市・川越市・川口市・越谷市の4市である(埼玉県)。
許可が要る業種
法第54条により都道府県が施設の基準を定めるべき営業は、飲食店営業ほか32業種である(食品衛生法施行令第35条各号)。この一覧に野菜果実の販売業は入っていない。食肉販売業(第3号)と魚介類販売業(第4号)は入っている。飲食店営業とは「食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業」をいう(同令第34条の2第2号の括弧書。同号は、この定義が第35条第1号にも及ぶとしている)。
届出の枠組み
許可の対象となる営業と、公衆衛生に与える影響が少ない営業で政令で定めるもの、および食鳥処理の事業を除く営業を営もうとする者は、あらかじめ都道府県知事に届け出なければならない(同法第57条第1項)。届出をしなかつた者は五十万円以下の罰金(同法第85条第3号)。許可の罰則が二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金であるのに対し、届出の罰則は五十万円以下の罰金である。線の重さが違う。公衆衛生に与える影響が少ない営業として政令で定めるものは、輸入、貯蔵または運搬のみ(冷凍・冷蔵業を除く)、容器包装に入れられた常温保存可能な食品の販売、合成樹脂以外の器具容器包装の製造、器具容器包装の輸入または販売の5つである(同令第35条の2)。
焼き芋とスイカのカットが、どこに置かれているか
厚生労働省は、野菜果実販売業を営業届出の対象としたうえで、「当該営業者が野菜果実販売業の営業に附帯的に行う以下の簡易な食品の加工及び簡易な包装(密封包装でないものに限る。)による販売(販売当日中に消費する又は使い切ることを想定したもの)も含まれ得ること」として、次の4つを挙げている(「食品衛生法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政省令の制定について」令和元年12月27日付け生食発1227第2号 別添第2の2イ)。 (1) 丸のままの農産物の単純な調理(焼き芋・蒸かし芋、焼きトウモロコシ・茹でトウモロコシ、焼き栗、ボイル竹の子等)。 (2) 調理のための下処理(玉ねぎの皮剥き、ごぼうのささがき、人参の千切り、カボチャのスライス等)。 (3) 野菜・果実のカット(大根の2分の1カット、スイカのカット、パイナップルのスライス等)。 (4) 野菜の塩漬け・ぬか漬け(調味液等に短時日漬け込み、低温管理を必要とする浅漬けは含まれない。)。焼き芋は(1)に、スイカのカットは(3)に、いずれも例として名指しで挙がっている。厚生労働省は別の質疑応答でも、野菜の塩漬け・ぬか漬けについて「従来から野菜果実販売業(八百屋等)において取り扱っている……については、附帯的に行う簡易な食品の加工による販売(販売当日中に消費する又は使い切ることを想定)として営業届出の範疇で取り扱うこととします」としている(「営業許可制度の見直し及び営業届出制度の創設に関するQ&A」令和2年12月28日付け事務連絡 別添2 問6)。
ただし線は2つの条件に挟まれている
この扱いは、 ①野菜果実販売業の営業に「附帯的に」行うものであること、 ②密封包装でない簡易な包装で、販売当日中に消費するか使い切ることを想定したものであること、の2つに挟まれている。生の青果を売る営業が主で、焼く・切るがそれに付随している形が前提になる。焼き芋とカットスイカだけを売り、生の青果を扱わない形がこの範囲に入るかは、通知の文言からは決まらなかった。要確認。
自治体の側の書きぶり
いっぽう埼玉県は、キッチンカーの案内を「営業許可申請」として出しており、さいたま市は「自動車で調理を行い販売するには、営業許可を取得する必要があります」と書いている。川口市は「自動車による法令許可業種に係る営業は、食品衛生法施行条例に定める施設基準に適合すると認められた場合に許可されます」とし、あわせて「届出業種は手数料はかかりません」としている。なお厚生労働省は、営業届出の対象業種を条例により営業許可の対象にすることは「地方自治の趣旨に照らし……否定されない」としたうえで、検討する場合はより軽度な規制手段を検討し、必要に応じて相談するよう求めている(生食発1227第2号 別添第2の3)。埼玉県食品衛生法施行条例は、法第54条に規定する営業施設の基準を別表で定めるだけで、条例で独自に許可業種を設ける規定を置いていない(同条例第4条)。それでも、この形が許可と届出のどちらに当たるかは、国の通知と県・市の案内の書きぶりが一致しておらず、公表資料だけでは決まらなかつた。要確認。この試算は、重いほうの許可を取る前提で組んだ。
自動車の施設基準は条例で決まる
法第54条に規定する営業施設の基準は別表のとおりとする(埼玉県食品衛生法施行条例第4条)。同条例の別表 二イは、令第35条第1号の飲食店営業のうち自動車において調理をする場合について、 (一) 簡易な営業にあつては、一日の営業において約四十リットルの水を供給し、かつ、廃水を保管することのできる貯水設備を有すること、 (二) 比較的大量の水を要しない営業にあつては約八十リットル、 (三) 比較的大量の水を要する営業にあつては約二百リットル、と定めている。国の参酌基準も同じ3区分である(食品衛生法施行規則 別表第二十 第一号イ)。同条例の別表 一ホ(2)は「簡易な営業」を「そのままの状態で飲食に供することのできる食品を食器に盛る、そうざいの半製品を加熱する等の簡易な調理のみをする営業をいい、喫茶店営業……を含む」と定義している。定義が置かれているのは40リットルの側だけで、「比較的大量の水を要しない営業」と「比較的大量の水を要する営業」には定義がない。
埼玉県の側が公表している当てはめ
埼玉県の熊谷保健所は、給水・廃水タンクの容量が40リットル程度なら「簡易な調理のみ(温める、揚げる、盛り付ける等)を行うこと」「単一品目のみ取り扱うこと」「使い捨て食器を使用する」、 80リットル程度なら「大量の水を要しない、2工程程度までの簡易な調理を行うこと」「複数品目を取り扱うこと」「使い捨て食器を使用する」、 200リットル程度なら「大量の水を要する調理を行う、複数の工程からなる調理を行うこと」「通常の食器を使用すること」としている。越谷市も同じ3段の表を出している。つまり埼玉県では、工程が1つでも品目が2つあれば80リットルの側に入る。焼き芋とスイカのカットの2品目を同じ日に売る時点で、40リットルでは足りない計算になる。食品の洗浄を工程として数えるかどうか、洗浄をどこまで車外に出せば足りるかについては、埼玉県が公表している資料の範囲では決まらなかつた。要確認。
自動車では適用されない基準
同条例の別表 一ホ(3)は、飲食店営業のうち自動車において調理をする場合には、ハ(4)(床面の不浸透性材質と内壁の腰張り)、 (9)(排水設備)、(12)(便所)、(16)(更衣場所)の基準を適用しないとしている。
許可の範囲
埼玉県は、県及び県内政令中核市で申合せを行い、令和3年6月1日以降に県内いずれかの自治体で許可を受けたキッチンカーについては、令和4年6月1日から県内全域で営業ができることとした、としている。令和3年5月31日以前に許可を受けているキッチンカーの営業範囲は従来どおりとされている。越谷市と川口市も同じ内容を公表している。つまり埼玉県では、許可は1件でよい。県をまたぐなら、原則としてもう1件になる。
食品衛生責任者
営業者は食品衛生責任者を定めること(食品衛生法施行規則 別表第十七 第一号イ)。食品衛生責任者は、食品衛生監視員又は食品衛生管理者の資格要件を満たす者、調理師・製菓衛生師・栄養士・管理栄養士・船舶料理士など、又は都道府県知事等が行う講習会もしくは適正と認める講習会を受講した者とする(同 第一号ロ)。法第54条の営業については、都道府県知事等が行う講習会等を定期的に受講することとされている(同 第一号ハ)。埼玉県は、申請時に資格を有する者がいない場合、2か月以内に養成講習会を受講する旨の誓約書を提出させるとしている。
下処理の場所
埼玉県の熊谷保健所は、事前相談の際に「下処理を行う場合は、その場所」を提示するよう求めている。埼玉県の申請書には仕込み場所を記載する欄がある(さいたま市)。
道路で売る場合
場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする者は、当該行為に係る場所を管轄する警察署長の許可を受けなければならない(道路交通法第77条第1項第3号)。違反したときは三月以下の拘禁刑又は五万円以下の罰金(同法第119条第2項第7号)。埼玉県警察はこれを3号許可とし、審査手数料を1申請2,500円、再交付申請を1申請500円としている。申請先は申請場所を管轄する警察署で、受付は月曜日から金曜日の午前9時00分から午後4時15分まで。審査手数料であるため、不許可になつても中止になつても返金されないとしている。同県警察は、工事等で警察に申請する道路使用許可と道路管理者に申請する道路占用許可の両方が必要となる場合には、各申請書を警察署長又は道路管理者の窓口に一括して提出できるとしている。
食品表示
食品表示基準の別表第二は、野菜と果実について「収穫後調整、選別、水洗い等を行つたもの、単に切断したもの及び単に凍結させたものを含む」として、生鮮食品に位置づけている(同基準第2条第1項第2号、別表第二)。したがつて、丸ごとのスイカも、単に切つただけのカットスイカも生鮮食品にあたる。食品関連事業者が一般用生鮮食品を販売する際には、名称と原産地が表示されなければならない(同基準第18条第1項)。国産の農産物の原産地は都道府県名を表示するが、市町村名その他一般に知られている地名をもつて代えることができる(同項の表)。容器包装に入れないで販売する場合について、義務表示の特例で表示を要しないとされているのは、名称(生産した場所で販売する場合等に限る)、放射線照射に関する事項、乳児用規格適用食品である旨、内容量、食品関連事業者の氏名又は名称及び住所などであり、原産地はこの一覧に入つていない(同基準第20条)。容器包装に入れられていない生鮮食品にあつては、製品に近接した掲示その他の見やすい場所に表示する(同基準第22条第1項第3号)。つまり、ばら売りでも名称と原産地の掲示は要る。いつぽう焼き芋は、別表第二が生鮮食品に含めている「単に切断したもの」「単に凍結させたもの」に当たらないので、加工食品として扱われることになる。加工食品の義務表示は「容器包装に入れられた加工食品」を販売する際にかかる(同基準第3条第1項)。食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合には、原材料名、内容量、栄養成分の量及び熱量、食品関連事業者の氏名又は名称及び住所、原産国名、原料原産地名の表示を要しない(同基準第5条)。ただし、その場で渡す紙袋が「容器包装」に当たるかどうかの当てはめは確認していない。要確認。異なる種類の果実を混ぜたカップが生鮮食品と加工食品のどちらに当たるかも、条文の文言からは決まらなかつた。要確認。
計量
取引又は証明における法定計量単位による計量には、検定に合格した特定計量器等でなければ使用してはならない(計量法第16条第1項)。違反した者は六月以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金で、併科もある(同法第172条第1号)。焼き芋を重さで売る場合にこの規定が当たるかどうかは、はかりが特定計量器に含まれるかを定める政令を確認していないため決まらなかつた。要確認。
減価償却
「タンク車、じんかい車、し尿車、寝台車、霊きゆう車、トラックミキサー、レッカーその他特殊車体を架装したもの」の法定耐用年数は、小型車(じんかい車及びし尿車にあつては積載量が二トン以下、その他のものにあつては総排気量が二リットル以下のもの)が三年、その他のものが四年とされている(減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一)。軽トラックの総排気量は〇・六六リットル以下なので、この区分に当たるなら小型車として三年になる。この試算は三年で置いた。ただし移動販売車がこの区分に当たるかどうかは税務上の判断であり、確認していない。要一次情報。器具及び備品のうち「電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気又はガス機器」は六年。焼き芋機と冷蔵・保冷設備はこの六年で置いた。
衛生管理
埼玉県は、営業を開始した後はHACCPに沿つた衛生管理を行う必要があるとし、衛生管理計画及び記録表が完成している場合には申請時に確認するとしている。熊谷保健所は、調理従事者に半年に1回の腸内細菌検査の受検を指導しているとし、申請時に直近6か月以内の結果の提示を求めている。
推定で置いた数字の一覧
| 推定で置いた数字 | 前提 |
|---|---|
| 1日あたりの販売点数(焼き芋期60点/スイカ期70点/端境期30点) | |
| 車両1,800,000円・焼き芋機250,000円・冷蔵と保冷設備と発電機350,000円 | |
| 焼き芋の重量変化率82% | |
| 仕入れ単価(さつまいも280円/キログラム・すいか300円/キログラム) | |
| 売価(焼き芋1本380円/スイカ1/4カット1,000円/カップ400円) | |
| 出店にかかる費用を売上の8%と置いたこと | |
| 稼働日数(焼き芋期・スイカ期が月20日、端境期が月12日) | |
| 季節の区切り方(焼き芋11月〜3月/スイカ6月〜9月/端境期4月・5月・10月) | |
| 廃棄率(標準ケースで焼き芋5%・スイカのカップ12%・1/4カット6%・端境期8%) | |
| 固定費(減価償却を除く月65,300円) | |
| 減価償却の耐用年数(車両3年・焼き芋機と冷蔵設備6年) | |
| 経営者作業時間(焼き芋期180時間/スイカ期220時間/端境期104時間・年2,092時間) | |
| 端境期の原価率65% | |
| 運転資金600,000円 |
出典の一覧
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本コンテンツは公開情報と一定の仮定に基づく試算です。特定企業の実際の利益を示すものではなく、地域・規模・経験・時期によって結果は変わります。出典・計算条件・更新日は商売解剖図鑑に掲載します。