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焼き鳥屋
秋田県横手市・22席の路面店/オーナー1名+アルバイト1名/夕方から23時30分まで・深夜0時前に閉める
机上版店舗労働型・地域商圏型店舗型BtoC許認可あり
調査日 2026-08-05 / 原典を確認した日 2026-08-05

現地には行っていません。公開されている情報と、そこから組んだ試算だけで書いています。実額の裏取りが済んだら検証版として更新します。
初期投資
725万円
幅 350万〜1,500万円
月の営業利益(標準)
379,415円
弱気 ▲43,979円 / 強気 806,524円
経営者の時給(標準)
1,286円
月 295時間
投資の回収(標準)
17か月
総合点
43 / 100
8つの軸の合計
この商売はどういうものか
雪の多い地方都市で、夕方から夜に店を開けて、串に刺した鶏肉を炭で焼いて出す商売です。売上は、その日に来た客の数と、一人がいくら使ったかで決まります。酒を出すので、客がどうやって帰るかが商圏の広さを決めます。串を打つ仕込みは、店を開ける前に自分でやります。
結論
置いた前提で計算すると、初期投資は7,251,000円。うち5,500,000円が内装造作と厨房設備です。これとは別に運転資金1,500,000円を置きました。標準ケースの営業利益は月379,415円、営業利益率27.3%という計算になりました。投資が戻るまで17か月です。
この379,415円には経営者の給料が入ったままです。作業時間は月295時間。時給に直すと1,286円という計算になります。秋田県の最低賃金は令和8年3月31日から1,031円です。1日の来店が13.7人を割ると、時給はこの1,031円を下回る計算になります。
商圏は実数で分かっています。横手市の人口は令和8年7月末で77,760人、33,503世帯。20歳から64歳は35,683人です。この人口が、2020年の85,555人から2025年の77,559人へ、5年で9.35%減りました。秋田県の減少率8.1%は、令和7年国勢調査の速報集計で全国のどの都道府県より高い数字です。
そして、この街で酒を出す店には条件がひとつ付きます。自動車保有台数は73,647台で一世帯当たり2.18台。一方、バスの乗客は一日当たり345人、横手駅の乗車人員は1日1,064人です。飲んだあとに乗れるものが、ほとんどありません。
なお、家賃90,000円も、内装造作3,500,000円も、客単価3,300円も、1日15人という来店客数も、すべて推定です。この4つに出典はひとつもありません。

こういう人なら向いている/やめたほうがいい
向いている(5つとも満たすこと)
- 自己資金で880万円を用意できる(初期投資7,251,000円と運転資金1,500,000円で、所要資金は8,751,000円です)
- 横手地域の徒歩圏に物件を取れる(横手地域の人口は32,546人、15,043世帯です。令和8年3月31日現在)
- 1日15人・客単価3,300円を月25日続けられる見込みがある(標準ケースの月商1,387,500円はこの掛け算から出た数です。営業利益がゼロになるのは1日8.3人)
- 月295時間を出せて、時給1,286円で数年働ける(標準ケースの経営者時給1,286円は、この295時間で割った値です。秋田県の最低賃金1,031円をわずかに上回るだけです)
- 車で来た客に酒を出さない運用を徹底できる(運転することとなるおそれがある者に酒類を提供してはならず、提供を受けた者が酒に酔つた状態で運転すれば、提供した者が三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金です)
やめたほうがいい(1つでも当てはまるなら見送り)
- 商圏の人口が減らない前提で計画している(横手市の人口は2020年85,555人から2025年77,559人へ、5年で9.35%減りました。秋田県の減少率8.1%は全国で最も高い数字です)
- 客は車で来ると思っている(自動車保有は一世帯当たり2.18台。ですがバスの乗客は一日当たり345人、横手駅の乗車人員は1日1,064人です)
- 平均的な個人店の売上で回ると思っている(横手市の個人経営の宿泊業・飲食サービス業は、1事業所当たり年700万円です。この費用構造の損益分岐は年922万円)
- 冬の売上を夏と同じに見ている(横手の年間降雪量は793センチ、最深積雪の平年値は119センチ、1月の日照時間は32.0時間です)
- 深夜0時以降も酒を出すつもりで、届出を知らない(届出書を提出しないと五十万円以下の罰金です。開始しようとする日の十日前までに提出します)
- 許可が下りる前に仕入れたい(許可を受けずに営業した者は、二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金です)
ここが面白い
- 統計の上では、焼き鳥屋は専門料理店ではなく酒場に入ります。日本標準産業分類の「765 酒場,ビヤホール」は主として酒類及び料理をその場所で飲食させる事業所をいい、内容例示に大衆酒場、居酒屋と並んで焼鳥屋が挙がっています。横手市の酒場・ビヤホールは68事業所で、飲食店364事業所の18.7%です。
- 秋田県は運転代行の密度が全国の4.0倍あります。認定業者は217(令和6年末)で、人口4,065人に1業者。全国は16,281人に1業者です。都道府県では沖縄に次ぐ2番目。車社会で夜に酒を出す商売は、この仕組みの上に乗っています。
- そしてその代行が減っています。秋田県の運転代行業者は平成17年の378から令和6年の217へ、20年で42.6%減りました。全国は同じ期間に6,010から7,558へ増えています。
- バスは一日当たり345人です。羽後交通横手営業所分の年間乗客は125,747人(令和7年度)。一方で自動車保有台数は73,647台、一世帯当たり2.18台。飲んだあとに乗れるものが、ほとんどありません。
- 世帯は減っていません。人だけが減っています。住民基本台帳で、平成元年度は117,357人・30,671世帯。令和7年度は78,175人・33,499世帯。人口は33.4%減ったのに、世帯数は9.2%増えました。1世帯当たりは3.83人から2.33人になりました。
- 店が1軒も減らなくても、競争は濃くなります。横手市の酒場・ビヤホール68事業所を令和2年国勢調査の人口85,555人で割ると1店当たり1,258人で、全国の1,273人とほぼ同じです。同じ68店のまま2025年の77,559人で割ると1,141人になります。
- 法令が席数に線を引いています。飲食店で防火管理者の選任が要るのは収容人員が三十人以上のもの。収容人員は、従業者の数と、固定式のいす席を設ける部分についてはいす席の数などを合算して算定します。22席に従業者2名なら24人で、線の手前です。
- 深夜0時が2本目の線です。0時以降に酒を出すなら公安委員会への届出が要り、客室一室の床面積は九・五平方メートル以上、営業所内の照度は二十ルクス以下にならないように維持することが求められます。暗い店は、深夜0時をまたげません。
- その届出の定義には、括弧書きが付いています。酒類提供飲食店営業の定義から「営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むもの」が除かれています。ご飯物を常態として出しているかどうかが、届出の要否に効きます。
- 外では食べないのに、外では飲んでいます。秋田市の二人以上の世帯の年間外食支出は143,483円で52市中49位、食事代は107,503円で51位。ところが飲酒代は16,841円で25位です(2023年〜2025年平均)。
- 新規の飲食店営業許可は年22件です。横手保健所管内で令和7年度に交付された飲食店営業の新規許可は22件でした。一方で経済センサスの飲食店は、平成28年の433事業所から令和3年の364事業所へ、5年で69減っています。
- 1月の日照時間は32.0時間です。1日あたり約1時間。年間1,416.4時間の2.3%が1月に集まります。
ここは危ない
- 車で来た客に酒を出すことです。何人も、酒気を帯びて車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはなりません。提供を受けた者が酒に酔つた状態で車両等を運転した場合、提供した者は三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金です。政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で運転した場合は、二年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金になります。
- 許可を受けずに営業した者は、二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金です。秋田県は、許可証が交付されるまで営業はできないとしています。
- 平均的な個人店の売上水準では赤字になる計算です。横手市の個人経営の宿泊業・飲食サービス業は273事業所あり、1事業所当たりの年間売上は700万円。この費用構造の損益分岐は年922万円で、その1.32倍にあたります。固定費が安いから分岐点が低い、では済みません。
- 商圏が縮みます。横手市の人口は2020年85,555人から2025年77,559人へ、5年で9.35%減りました。20歳から64歳は35,683人、うち20歳から39歳は10,550人です(令和8年7月末)。出生数は年246人、死亡数は年1,664人でした(令和6年10月から令和7年9月)。
- 深夜0時以降の届出です。酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者は、営業所ごとに、所在地を管轄する公安委員会に届出書を提出しなければなりません。提出しなかった者は五十万円以下の罰金です。届出をすると、客室一室の床面積九・五平方メートル以上と、営業所内の照度二十ルクスの基準がかかります。
- 冬です。横手の年間降雪量は793センチで、うち770センチが12月から3月に集まります。最深積雪の平年値は119センチ。1月の平均気温は−1.3℃、日最低気温の平年値は−4.3℃です。暖房と除雪の費用は、この試算では推定でしか置けていません。
- 家賃も内装費も厨房設備費も推定です。初期投資7,251,000円のうち、出典があるのは許可の申請手数料19,000円と講習会の受講料12,000円の、合わせて31,000円だけ。全体の0.4%です。
- 1日の来店客数と客単価も推定です。売上のほぼ全部がこの2つの掛け算で、どちらにも出典がありません。飲食店の開業を支援する立場の発信には収支の数字が多数ありますが、原典をたどれるものがほとんど見つかりませんでした。
- 経営者の給料が入ったままです。標準ケースの経営者時給は1,286円。秋田県の最低賃金は1,031円です。年商は1,665万円になりますが、借入の元本返済、消費税、所得税は、この試算に入っていません。
どこに活路があるか
どれも試していません。感度分析と損益分岐から逆算しただけの案で、効くかどうかは確かめていない段階です。
1. 客単価を上げる。10%で月+135,975円の計算
標準ケースは店内が3,300円×375人、持ち帰りが1,200円×125件。客単価を10%上げて3,630円、持ち帰りを1,320円にすると、店内売上が123,750円、持ち帰りが15,000円増えます。決済手数料が2,775円増えるので、差し引き135,975円。営業利益379,415円が515,390円になる計算です。
同じ品を高く売る値上げなので、食材費は増えません。感度分析で最も効く変数でした。
2. 来店客数を増やす。1日1.5人で月+76,257円の計算
1日15人を16.5人にすると、月に37.5人増えます。1人あたりの貢献利益2,034円を掛けて76,257円。営業利益は455,672円になる計算です。
増やし方は、歩いて来られる人の密度が高い区画に店を置くことです。横手地域の人口は32,546人、15,043世帯。物件を決めた時点で、この数字はほぼ固まります。
3. 営業日数を増やす。25日を27日にすると月+68,018円の計算
来店が30人増えて貢献利益61,006円、持ち帰りが10件増えて7,013円。差し引き68,018円で、営業利益は447,433円になる計算です。ただし水道光熱費と炭の増加は見込んでいません。
4. 持ち帰りを増やす。1日5件を7.5件にすると月+43,830円の計算
月に62.5件増え、1件あたりの貢献利益701円を掛けて43,830円。営業利益は423,245円になる計算です。
持ち帰りは22席という席数の制約を受けません。運転して帰る客にも売れます。横手市の持ち帰り・配達飲食サービス業は53事業所で、飲食店364事業所の14.6%にとどまっています。
数字は動くが、取らない手
- 席を22席から30席に増やす。収容人員が従業者2名を含めて32人になり、防火管理者の選任が必要になります。しかも標準ケースの回転は0.68で、1日15人では22席も埋まっていません。
- 深夜0時以降まで営業を延ばす。公安委員会への届出が要り、開始しようとする日の十日前までに提出します。届出をすると、客室一室の床面積九・五平方メートル以上、営業所内の照度が二十ルクス以下にならないこと、という基準がかかります。無届は五十万円以下の罰金。加えて午後十時から午前五時までの労働には二割五分以上の割増賃金が要ります。バスは一日当たり345人しか動いていません。0時以降に歩いて帰れる客が何人いるかを、先に数えることになります。
- 車で来る客を増やして商圏を広げる。運転することとなるおそれがある者への酒類提供は禁じられており、客が酒に酔つた状態で運転すれば、提供した者が三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金です。秋田県の運転代行業者は217で全国の4.0倍の密度がありますが、20年で42.6%減っています。
この商売をどう見るか
これは料理を売る商売というより、客の帰り方を設計する商売です。
月商は「営業日数 × 来店客数 × 客単価」で決まります。ですが来店客数を決めるのは、味ではなく帰り方です。歩いて帰れるか、代行を呼べるか、送ってもらえるか。この3つ以外に選択肢がありません。自動車保有は一世帯当たり2.18台、バスは一日当たり345人。そして、運転することとなるおそれがある者に酒類を提供してはならないと法律が定めています。
だから「どこに店を出すか」は「どこから歩いて来られるか」と同じ問いになります。立てる問いも変わります。「何を売るか」ではなく「歩いて来られる人が何人いるか」。
そしてその分母が、毎年減ります。横手市は5年で9.35%減りました。秋田県の減少率は全国で最も高い数字です。世帯数は減っていないので、店の数だけを見ていると気づきにくい。1世帯あたりの人数が3.83人から2.33人になった街で、2人で来る客を待つことになります。
救いもあります。地方なので固定費が安く、損益分岐は月商768,328円まで下がります。年922万円です。ただし救いはそこまでで、横手市の個人経営の宿泊業・飲食サービス業の1事業所当たり年間売上は700万円。分岐点に届いていません。安い固定費でも届かない店が、統計の中に273事業所ぶん実在します。
限界も書いておきます。家賃、内装造作、厨房設備、客単価、1日の来店客数。この5つに出典が1件もありません。公的統計で確かめられたのは商圏の側であり、店の中の数字はほとんど確かめられていません。

始めるなら、何から
やると決めた人が、最初に何を、どの順番でやるのか。始めることを勧めているわけではありません。特定の業者やスクール、代行サービスは挙げません。金額と日数は、法令と官公庁が公開しているもので確かめられた分だけを書きます。確かめられなかったものは、空けたまま残します。
1. 手続き
飲食店営業の許可
食品衛生法第54条に規定する営業を営もうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければなりません(同法第55条第1項)。保健所を設置する市又は特別区にあっては市長又は区長が許可を出しますが(同法第76条)、横手市には保健所がありません。秋田県の横手保健所(平鹿地域振興局 福祉環境部、電話0182-32-4005)が窓口になります。
| 申請先 | 横手保健所(平鹿地域振興局 福祉環境部) |
| 手数料 | 19,000円(秋田県食品衛生法施行条例 第5条第2項第1号(三)) |
| 提出時期 | 施設工事完成予定日の10日ほど前 |
| 有効期間 | 五年を下らない期間を付けることができる(実際は約5.0年から6.9年の幅) |
| 添付書類 | 営業許可申請書・営業届/営業施設の平面図/営業施設周辺の見取り図/営業設備の概要/登記事項証明書(法人)/水質検査成績書(公営水道使用以外)/食品衛生責任者の資格を証明するもの |
| 検査 | 施設検査。営業者が立ち会う |
| 交付まで | 施設基準適合確認後、概ね3日 |
秋田県は、施設の工事着工前に施設の設計図などを持参して事前相談することを求めています。施設基準に適合しない場合は許可にならず、改善後に再検査になります。許可証が交付されるまで営業はできません。厚生労働省の食品衛生申請等システムでオンライン申請もできます。
横手保健所が令和7年度と令和8年度(6月末まで)に交付した飲食店営業の許可を見ると、開始日から満了日までは1,829日から2,503日でした。約5.0年から6.9年です。
食品衛生責任者
施設ごとに食品衛生責任者を置きます。調理師・製菓衛生師・栄養士などの資格がなければ、公益社団法人秋田県食品衛生協会の養成講習会を修了します。会場集合型の受講料は食品衛生協会員10,000円、一般12,000円。修了者全員に責任者手帳と標識が交付されます。
令和8年度の横手での開催は4月22日と10月7日の2回だけです。10月7日は十文字地区交流センター(横手市十文字町字海道下12-5)で10時から16時、受付期間は令和8年8月3日から9月24日まで。申込先は横手食品衛生協会(横手保健所内)です。
深夜0時以降に酒を出す場合
酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者は、営業所ごとに、営業所の所在地を管轄する公安委員会に届出書を提出します(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第33条第1項)。窓口は所轄の警察署の生活安全課です。届出書は別記様式第47号、営業の方法は別記様式第48号で、秋田県警察がウェブサイトで配布しています。
届出書は、深夜において営業を開始しようとする日の十日前までに提出します。提出しなかった場合は五十万円以下の罰金です。届出の手数料は、秋田県警察のページで確認できませんでした。所轄の警察署の生活安全課で確認してください。
防火管理者
飲食店で選任が必要になるのは、収容人員が三十人以上のものです。収容人員は、従業者の数と、固定式のいす席を設ける部分についてはいす席の数、その他の部分については床面積を三平方メートルで除して得た数を合算して算定します。22席・従業者2名の想定では30人に届きませんが、席を増やすときに数え直すことになります。
税務署
個人事業の開業・廃業等届出書を、納税地を所轄する税務署長に提出します。青色申告にするなら、所得税の青色申告承認申請書も出します。
2. 場所・道具の確保
立地は「歩いて来られる人が何人いるか」で決めます。
| 横手地域の人口 | 32,546人・15,043世帯(令和8年3月31日) |
| 横手市全体 | 77,760人・33,503世帯(令和8年7月末) |
| 20歳から64歳 | 35,683人(うち20歳から39歳は10,550人) |
| 面積・人口密度 | 692.80平方キロメートル・112人/平方キロメートル |
車で来る客は代行運転か送迎に限られるので、駐車場の台数より徒歩圏の人口が先に効きます。
この試算では、家賃を月90,000円、駐車場3台を月15,000円、物件の保証金・礼金・仲介手数料を家賃の8か月分720,000円と置きました。内装造作3,500,000円、厨房設備2,000,000円、家具・食器・レジと決済端末600,000円も推定です。合わせて初期投資の84%を占めます。
冬の設備が要ります。横手の年間降雪量は793センチで、うち770センチが12月から3月に集まります。最深積雪の平年値は119センチ、1月の平均気温は−1.3℃、日最低気温の平年値は−4.3℃です。この試算では、暖房を含む水道光熱費を月95,000円、店前と駐車場の除雪・排雪を冬季4か月で120,000円と置きました。推定です。
深夜0時以降まで営業するなら、客室一室の床面積を九・五平方メートル以上にし、営業所内の照度が二十ルクス以下にならないようにする必要があります。間取りと照明を、開ける時間から逆算して決めることになります。
3. 仕入れ・供給の確保
最初に押さえるのは物件と、その物件の徒歩圏の人口です。これが決まらないと、売上式の中心にある「1日あたりの来店客数」が置けません。
次が保健所への事前相談です。秋田県は施設の工事着工前の相談を求めています。工事を進めてから相談すると、直しが工事の側に出ます。
食材は鶏肉、炭、酒類。仕入れ単価は販売価格の32%として置きました。推定です。串打ちを自分でやるか、串打ち済みを仕入れるかで作業時間が変わります。この試算では自分で打つ前提で、1日の仕込みを4時間と置きました。実測ではありません。炭とガスは月30,000円と置いています。
4. 売る場所・受注の窓口の準備
売り場は店そのもので、集客は立地と口コミになります。有償で買える経路はグルメ媒体の掲載と交流サイトの広告だけで、月15,000円と置きました。客1人あたり40円にあたります。金を払って増やせる客数には、市の人口という天井があります。
客の帰り方を先に決めることになります。
| 帰り方 | 押さえる数字 |
|---|---|
| 歩いて帰る | 横手地域の人口32,546人・15,043世帯 |
| 代行運転を呼ぶ | 秋田県の運転代行業者217(令和6年末)。人口4,065人に1業者で全国の4.0倍。ただし20年で42.6%減 |
| 送ってもらう | 自動車保有台数73,647台・一世帯当たり2.18台 |
| 公共交通で帰る | バスの乗客は一日当たり345人、横手駅の乗車人員は1日1,064人 |
代行運転の料金は事業者ごとに違い、公開資料で確認できませんでした。
運転することとなるおそれがある者に酒類を提供してはならず、提供を受けた者が酒に酔つた状態で運転すれば、提供した者が三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金になります。車で来た客への提供を断る運用を、開店前に決めておくことになります。
持ち帰りは席数の制約を受けません。横手市の持ち帰り・配達飲食サービス業は53事業所で、飲食店364事業所の14.6%にとどまっています。
5. 最初の1件までの順番
- 物件の候補を出し、その徒歩圏に何人住んでいるかを数える
- 開ける時間を決める。深夜0時をまたぐかどうかで、要る手続きと間取りが変わる
- 横手保健所(平鹿地域振興局 福祉環境部)に、施設の工事着工前に事前相談する
- 食品衛生責任者の資格を取る。資格がなければ養成講習会を受講する。会員10,000円、一般12,000円
- 内装と厨房設備の工事に入る
- 施設工事完成予定日の10日ほど前に、営業許可申請書と添付書類を横手保健所に提出し、手数料19,000円を納付する
- 施設検査を受ける。営業者が立ち会う
- 施設基準適合確認後、概ね3日で許可証の交付を受ける
- ここで初めて食材を仕入れて営業する
- 深夜0時以降に酒を出すなら、開始しようとする日の十日前までに所轄の警察署へ届け出る
- 開業届を税務署へ出す。青色申告にするなら承認申請書も出す
順番を間違えると違法になる。 許可証が交付されるまで営業はできません。許可を受けずに営業した者は、二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金です。深夜0時以降の酒類提供を届出なしで始めた場合は、五十万円以下の罰金です。
順番を間違えると金が消える。 3の事前相談より先に5の工事に入ると、施設基準に合わなかったときに工事の側を直すことになります。秋田県は工事着工前の相談を求めています。また、2で開ける時間を決めずに間取りを決めると、深夜0時をまたぐ判断をしたときに、客室一室の床面積九・五平方メートル以上と照度二十ルクスの基準に合わなくなる可能性があります。
日数と費用の合計。 公式の金額として確かめられたのは、飲食店営業の許可の申請手数料19,000円と、食品衛生責任者養成講習会の受講料12,000円(一般)の、合わせて31,000円だけです。物件の保証金等720,000円、内装造作3,500,000円、厨房設備2,000,000円、家具・食器・レジ600,000円、看板とチラシ400,000円はすべて推定で、初期投資の合計は7,251,000円。これとは別に運転資金1,500,000円を置きました。所要資金は8,751,000円です。
日数は、書類の提出が施設工事完成予定日の10日ほど前、施設基準適合確認後の許可証交付まで概ね3日であることが確かめられました。工事にかかる期間は確認していません。食品衛生責任者養成講習会は横手では年2回しか開かれないので、開催日から逆算する必要があります。
数字で見る
初期費用
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件の保証金・礼金・仲介手数料(家賃90,000円の8か月分) | 720,000円(推定) |
| 内装造作(客席・厨房・排気・水回り) | 3,500,000円(推定) |
| 厨房設備(焼き台・冷蔵冷凍・製氷機・シンク・ドリンク什器) | 2,000,000円(推定) |
| 家具・食器・レジと決済端末 | 600,000円(推定) |
| 飲食店営業の許可の申請手数料 | 19,000円(実額・秋田県) |
| 食品衛生責任者養成講習会の受講料 | 12,000円(実額・一般。会員は10,000円) |
| 看板・のれん・メニュー・開業のチラシ | 400,000円(推定) |
| 合計 | 7,251,000円 |
| 運転資金(別枠) | 1,500,000円(推定) |
| 所要資金 | 8,751,000円 |

商圏の実数
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 横手市の人口・世帯(令和8年7月末) | 77,760人・33,503世帯 |
| うち20歳から64歳 | 35,683人 |
| うち20歳から39歳 | 10,550人 |
| 老年人口(65歳以上) | 32,639人・41.97% |
| 横手地域(旧横手市)の人口・世帯(令和8年3月31日) | 32,546人・15,043世帯 |
| 人口の推移(国勢調査) | 平成17年103,652人 → 令和2年85,555人 → 令和7年77,559人(速報) |
| 5年間の人口増減率(2020年→2025年) | −9.35%(全国は−2.45%、秋田県は−8.1%で全国最高) |
| 飲食店の事業所数(令和3年6月1日) | 364(平成28年は433。5年で−15.9%) |
| うち酒場・ビヤホール | 68 |
| 宿泊業・飲食サービス業の1事業所当たり年間売上 | 個人経営700万円/会社5,272万円/全体2,147万円 |
| 自動車保有台数(令和7年3月31日) | 73,647台・一世帯当たり2.18台 |
| バスの乗客(令和7年度・羽後交通横手営業所分) | 年125,747人・一日当たり345人 |
| 横手駅の乗車人員(令和6年度) | 1日1,064人 |
| 秋田県の運転代行業者(令和6年末) | 217(人口4,065人に1業者。全国は16,281人に1業者) |
| 年間降雪量・最深積雪の平年値 | 793センチ・119センチ |
| 秋田県の最低賃金 | 1,031円(令和8年3月31日から) |
売上の作り
月商 = 営業日数 ×(1日あたりの来店客数 × 客単価 + 1日あたりの持ち帰り件数 × 持ち帰り単価)。標準ケースは 25日 ×(15人 × 3,300円 + 5件 × 1,200円)= 1,387,500円。
店内の客1人あたりの貢献利益は2,034円です。客単価3,300円から、食材1,056円、決済手数料66円、割り箸とおしぼり60円、廃棄の引当84円を引いた残りです。持ち帰り1件あたりは701円になります。
3ケース〔試算〕
| 弱気 | 標準 | 強気 | |
|---|---|---|---|
| 前提 | 月22日・1日9人・2,800円 | 月25日・1日15人・3,300円 | 月26日・1日22人・3,700円 |
| 売上高 | 627,000円 | 1,387,500円 | 2,420,600円 |
| 年商 | 752万円 | 1,665万円 | 2,905万円 |
| 変動費 | 247,830円 | 501,750円 | 822,952円 |
| 固定費 | 381,815円 | 455,815円 | 729,815円 |
| 販売促進費 | 15,000円 | 15,000円 | 25,000円 |
| 廃棄の引当 | 26,334円 | 35,520円 | 36,309円 |
| 月間営業利益 | −43,979円 | 379,415円 | 806,524円 |
| 営業利益率 | −7.0% | 27.3% | 33.3% |
| 作業時間 | 240時間 | 295時間 | 337時間 |
| 経営者時給 | −183円 | 1,286円 | 2,393円 |
| 投資回収月数 | 626か月 | 17か月 | 8か月 |
弱気ケースの年商752万円は、横手市の個人経営の宿泊業・飲食サービス業の1事業所当たり年700万円に近い水準です。標準ケースの年商1,665万円は、会社経営を含めた全体平均2,147万円の78%にあたります。

どこまで行けば黒字か〔試算〕
| 基準 | 月商 | 年商 | 1日あたりの来店客数 | 標準ケース比 |
|---|---|---|---|---|
| 営業利益ゼロ | 768,328円 | 922万円 | 8.3人 | 55.4% |
| 所要資金を24か月で回収 | 1,272,703円 | 1,527万円 | 13.8人 | 91.7% |
| 経営者時給が1,031円に届く | 1,264,666円 | 1,518万円 | 13.7人 | 91.1% |
| 月の営業利益50万円 | 1,584,284円 | 1,901万円 | 17.1人 | 114.2% |
営業利益がゼロになる年商922万円は、横手市の個人経営の宿泊業・飲食サービス業の1事業所当たり年間売上700万円を32%上回ります。固定費が安いから分岐点が低い、では済みません。分岐点より低い売上の店が、統計の中に273事業所ぶん存在します。

何が一番効くか〔試算〕
| 変数 | 動かす幅 | 営業利益への影響 |
|---|---|---|
| 客単価 | +10%(3,300円→3,630円・値上げ) | +135,975円 |
| 1日あたりの来店客数 | +10%(15人→16.5人) | +76,257円 |
| 営業日数 | +2日(25日→27日) | +68,018円 |
| 食材原価率 | +3ポイント(32%→35%) | −44,955円 |
| 持ち帰りの件数 | +50%(1日5件→7.5件) | +43,830円 |
| 家賃 | +20,000円 | −20,000円 |
| 廃棄率 | +4ポイント(食材の8%→12%) | −17,760円 |
| アルバイトの時給 | +100円(1,100円→1,200円) | −11,475円 |
| 冬季の水道光熱費 | +30,000円/月を4か月 | −10,000円 |
| キャッシュレス決済の比率 | +20ポイント(60%→80%) | −9,019円 |
| 除雪・排雪の費用 | +50,000円/年 | −4,167円 |
上の3つはどれも売上の側にあります。冬の費用(光熱費と除雪)を足しても月14,167円で、客単価を10%上げて得られる135,975円の10分の1です。

採点 43点/100
| 評価軸 | 点 | 満点 |
|---|---|---|
| 利益性 | 11 | 20 |
| 初期投資 | 6 | 15 |
| 回収速度 | 8 | 15 |
| 再現性 | 6 | 15 |
| 営業難易度 | 4 | 10 |
| 運営難易度 | 3 | 10 |
| 将来性・AI耐性 | 4 | 10 |
| 法規・事故リスク | 1 | 5 |
| 総合 | 43 | 100 |
毎月の費用の内訳

投資の回収

前提と、どこまで確かか
この試算の対象
秋田県横手市。22席の路面店。オーナー1名とアルバイト1名。店は横手地域(旧横手市の市街地)の約20坪の賃借物件で、カウンター10席とテーブル12席。17時30分から23時30分まで・深夜0時前に閉店。週休1日で月25日営業。飲食店営業の許可を横手保健所で受ける。酒類を提供する。持ち帰りを扱う。店前に賃借の駐車場3台。フランチャイズ加盟・多店舗展開・宅配代行への出品は行わない
この試算で固定した条件
秋田県横手市の横手地域に、カウンター10席とテーブル12席の計22席、約20坪の路面店を賃借する。オーナー1名とアルバイト1名。17時30分から23時30分まで営業し、深夜0時をまたがない。週休1日で月25日営業。飲食店営業の許可を横手保健所で受ける。酒類を提供する。持ち帰りを扱う。店前に賃借の駐車場3台。
選ばなかった形
深夜0時以降も酒を出す形、席数を30席以上にする形、昼も開ける形、家族で無給で回す形、居抜き物件を使う形、串打ち済みの串を仕入れる形、宅配代行に出品する形、秋田市など他市に出す形、多店舗にする形、フランチャイズに加盟する形。いずれも費用と売上の構造が変わります。
推定した箇所
家賃90,000円、駐車場15,000円、物件の保証金等720,000円、内装造作3,500,000円、厨房設備2,000,000円、家具・食器・レジ600,000円、看板とチラシ400,000円、客単価3,300円、1日あたりの来店客数15人、持ち帰り1日5件と単価1,200円、食材原価率32%、廃棄の引当(食材の8%)、水道光熱費95,000円、炭とガス30,000円、除雪・排雪10,000円、キャッシュレス決済手数料(売上の2.0%)、アルバイトの時給1,100円、作業時間1日11時間、販売促進費15,000円、運転資金1,500,000円、減価償却の年数。いずれも出典はありません。
まだ分からないこと
横手市の店舗の家賃相場。22席の店を作る内装造作と厨房設備の実額。1日に実際に何人来るか。実際の客単価。焼き鳥の食材原価率と鶏肉の仕入れ単価。串を1本打つのにかかる時間。冬季の暖房を含む水道光熱費。除雪・排雪の委託料。横手市周辺の運転代行の料金と営業時間帯。横手市でアルバイトを募集するときの実際の時給。深夜における酒類提供飲食店営業の届出の手数料。「営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むもの」に当たるかどうかの所轄の判断。飲食店営業の許可の標準処理期間。賃借物件への内装造作の耐用年数の扱い。大雪による休業日数。
この分析でできたことと、できなかったこと
地域を1つの市に固定したので、商圏の側は推定ではなく実数で置けました。人口、世帯、年齢構成、その推移、飲食店と酒場の事業所数、1事業所当たりの売上、自動車保有台数、バスと鉄道の乗車人員、運転代行業者数、降雪量と気温と日照時間、最低賃金、許可の手数料と手続きと有効期間。ここはすべて公的統計と法令と自治体の公表で確かめました。
できなかったのは店の中です。家賃も内装費も厨房設備費も客単価も来店客数も、出典がひとつもありません。飲食店の開業を支援する立場の発信には収支の数字が多数ありますが、原典をたどれるものがほとんど見つかりませんでした。等級Dとして、数値根拠に一切使っていません。
許認可・規約
飲食店営業の許可
都道府県は、公衆衛生に与える影響が著しい営業であつて政令で定めるものの施設につき、厚生労働省令で定める基準を参酌して、条例で、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない(食品衛生法第54条)。この営業を営もうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない(第55条第1項)。都道府県知事は、その営業の施設が第54条の基準に合うと認めるときは許可をしなければならない(同条第2項)。ただし、この法律又はこの法律に基づく処分に違反して刑に処せられ、執行を終わり又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者などには、許可を与えないことができる(同項各号)。都道府県知事は、許可に五年を下らない有効期間その他の必要な条件を付けることができる(同条第3項)。第55条第1項に違反した者は、二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金(第82条)。
許可の権者と窓口
第55条ほかにおける「都道府県知事」は、保健所を設置する市又は特別区にあつては「市長」又は「区長」とする(第76条)。横手市には保健所がなく、秋田県の横手保健所(平鹿地域振興局 福祉環境部)が所管する。
申請の手数料
秋田県は、飲食店営業の許可の申請手数料を一件につき19,000円と定めている(食品衛生法施行条例 第5条第2項第1号(三))。臨時に設置する施設で連続20日未満の営業を行う場合は4,000円、 20日以上3月未満は6,000円。営業許可証の再交付は2,000円。
申請の流れ
秋田県は、施設の工事着工前に施設の設計図などを持参して保健所の食品衛生担当に事前相談すること、書類は施設工事完成予定日の10日ほど前に提出すること、申請時に検査日を相談すること、施設検査には営業者が立ち会うこと、施設基準に適合しない場合は許可にならず改善後に再検査になること、施設基準適合確認後、許可証の交付まで概ね3日かかること、許可証が交付されるまで営業はできないことを示している。必要書類は、営業許可申請書・営業届、営業施設の平面図、営業施設周辺の見取り図、営業設備の概要、登記事項証明書(法人の場合)、水質検査成績書(公営水道使用以外の場合)、食品衛生責任者の資格を証明するもの。厚生労働省の食品衛生申請等システムでオンライン申請もできる。
許可の実際の有効期間
横手保健所が公表している新規営業許可・届出施設一覧から、令和7年度と令和8年度(6月末まで)に交付された許可の開始日と満了日を数えると、 1,829日から2,503日(約5.0年から6.9年)の幅があった。法律上は「五年を下らない」としか定まっていない。
食品衛生責任者
衛生的な管理運営をするため、施設ごとに食品衛生責任者を置かなければならない(秋田県)。調理師・製菓衛生師・栄養士などの資格がなければ、公益社団法人秋田県食品衛生協会が行う食品衛生責任者養成講習会を修了する必要がある。会場集合型の受講料は食品衛生協会員10,000円、一般12,000円。修了者全員に責任者手帳と標識が交付される。再交付はそれぞれ2,000円。令和8年度の横手での開催は4月22日と10月7日の2回で、10月7日は十文字地区交流センター(横手市十文字町字海道下12-5)で10時から16時。申込先は横手食品衛生協会(横手保健所内)。
深夜0時以降に酒を出す場合
「酒類提供飲食店営業」とは、飲食店営業のうち、バー、酒場その他客に酒類を提供して営む営業(営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く)で、午前六時から午後十時までの時間においてのみ営むもの以外のものをいう(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第2条第13項第4号)。「深夜」とは午前零時から午前六時までの時間をいう(同法第13条第1項)。酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者は、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、氏名又は名称及び住所、営業所の名称及び所在地、営業所の構造及び設備の概要を記載した届出書を提出しなければならない(同法第33条第1項)。届出書には営業の方法を記載した書類その他の内閣府令で定める書類を添付する(同条第3項)。届出書の様式は別記様式第47号、営業の方法は別記様式第48号であり、届出書は深夜において当該酒類提供飲食店営業を開始しようとする日の十日前までに提出しなければならない(同法施行規則第103条)。届出書を提出しなかった者は、五十万円以下の罰金(同法第55条第6号)。秋田県警察は、深夜酒類提供飲食店の営業開始届出書(様式第47号)と営業の方法(様式第48号)をウェブサイトで配布している。届出の手数料の記載は確認できなかった。要一次情報。
定義から外れる場合がある
上記の「酒類提供飲食店営業」の定義には「営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く」という括弧書きがある。ご飯物などを営業の常態として提供している店が、この定義に当たるかどうかの判断は所轄によることになる。要一次情報。
深夜0時以降に営業する飲食店の構造設備
深夜において飲食店営業を営む者は、営業所の構造及び設備を、国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない(同法第32条第1項)。その基準は、客室の床面積を一室につき九・五平方メートル以上とすること(客室が一室のみの場合を除く)、客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと、客室の出入口に施錠の設備を設けないこと(営業所外に直接通ずるものを除く)、営業所内の照度が二十ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること等である(同法施行規則第99条、第101条)。これは酒類の提供の有無にかかわらず、深夜に営む飲食店営業にかかる。
防火管理者
学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、防火管理者を定め、消防計画の作成等を行わせなければならない(消防法第8条第1項)。飲食店は消防法施行令 別表第一(三)項ロに掲げる防火対象物であり、収容人員が三十人以上のものが対象となる(同令第1条の2第3項第1号ロ)。収容人員は、従業者の数と、固定式のいす席を設ける部分についてはいす席の数、その他の部分については床面積を三平方メートルで除して得た数を合算して算定する(同法施行規則第1条の3)。この試算の22席・従業者2名の想定では、収容人員は30人に届かない計算になる。
酒類を提供する側の責任
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない(道路交通法第65条第1項)。何人も、第1項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない(同条第3項)。第3項に違反して酒類を提供した者は、提供を受けた者が酒に酔つた状態で車両等を運転した場合は三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金(第117条の2の2第1項第5号)、政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で運転した場合は二年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金(第117条の3の2第2号)。
運転代行
自動車運転代行業とは、他人に代わって自動車を運転する役務を提供する営業であって、主として、夜間において客に飲食をさせる営業を営む者から酒類の提供を受けて酒気を帯びた状態にある者に代わって自動車を運転する役務を提供するものであること、その者を乗車させるものであること、常態として当該自動車に当該営業の用に供する自動車が随伴するものであること、のいずれにも該当するものをいう(自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律 第2条第1項)。自動車運転代行業を営もうとする者は、都道府県公安委員会の認定を受けなければならない(第4条)。
深夜の割増賃金
使用者が、午後十時から午前五時までの間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない(労働基準法第37条第4項)。秋田県の最低賃金は令和8年3月31日から時間額1,031円に改定されている。
産業分類上の位置
日本標準産業分類(平成25年10月改定)では、「765 酒場,ビヤホール」は主として酒類及び料理をその場所で飲食させる事業所をいい、内容例示に大衆酒場、居酒屋、焼鳥屋、おでん屋、もつ焼屋、ダイニングバー、ビヤホールが挙がる。統計上、焼き鳥屋は専門料理店ではなく酒場に入る。
推定で置いた数字の一覧
| 推定で置いた数字 | 前提 |
|---|---|
| 1日あたりの来店客数(弱気9人/標準15人/強気22人) | |
| 客単価3,300円(弱気2,800円/強気3,700円)と持ち帰り単価1,200円 | |
| 家賃 月90,000円と駐車場3台 月15,000円、保証金等720,000円 | |
| 内装造作3,500,000円と厨房設備2,000,000円、家具・食器・レジ600,000円 | |
| 減価償却 月55,555円(内装造作3,500,000円を15年、厨房設備2,000,000円を6年、什器類600,000円を6年) | |
| 食材原価率(弱気35%/標準32%/強気30%)と廃棄の引当(食材の12%/8%/5%) | |
| 水道光熱費 月95,000円(弱気78,000円/強気110,000円)と炭・ガス 月30,000円 | |
| 除雪・排雪 冬季4か月で120,000円(月ならし10,000円) | |
| アルバイト1名の人件費(弱気84,000円/標準126,000円/強気365,000円) | |
| キャッシュレス決済手数料 売上の2.0% | |
| 経営者作業時間(弱気1日10時間/標準1日11時間/強気1日12時間、加えて月20〜25時間) | |
| 販売促進費 月15,000円(強気25,000円) | |
| 運転資金 1,500,000円 | |
| 営業日数(弱気22日/標準25日/強気26日)と営業時間(17時30分から23時30分) | |
| 客の来店経路の配分(徒歩圏・代行運転・送迎・宴会予約) |
出典
| 等級 | 出典 |
|---|---|
| A | 横手市「横手市の人口(令和8年度)」 |
| A | 横手市「年齢別人口(令和8年7月)」 |
| A | 横手市「横手市の人口(過去データ)」 |
| A | 横手市「横手市ポケット統計 ミニ統計よこて -2026-」 |
| A | 総務省統計局「令和7年国勢調査 人口速報集計 第1表」 |
| A | 総務省統計局「令和7年国勢調査 人口速報集計結果 結果の概要」 |
| A | 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査 第9-1A表 産業(小分類)別全事業所数」 |
| A | 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査 第6-1表 産業(中分類)別民営事業所数」 |
| A | 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査 第2-1表 売上(収入)金額等」 |
| A | 総務省「平成28年経済センサス‐活動調査 追加集計 都道府県別結果 05秋田県 第1表」 |
| A | 総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)大分類M 説明及び内容例示」 |
| A | 気象庁「横手(秋田県)平年値(年・月ごとの値)主な要素」 |
| A | 秋田県「食品衛生法施行条例」 |
| A | 秋田県「食品関係の営業をはじめるときには」 |
| A | 秋田県「新規営業許可・届出施設一覧(横手保健所)」 |
| A | 秋田県「【令和8年3月31日】秋田県の最低賃金が改定されました!」 |
| A | e-Gov法令検索「食品衛生法」 |
| A | e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」 |
| A | e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」 |
| A | e-Gov法令検索「道路交通法」 |
| A | e-Gov法令検索「労働基準法」 |
| A | e-Gov法令検索「消防法施行令」 |
| A | e-Gov法令検索「消防法施行規則」 |
| A | e-Gov法令検索「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」 |
| A | 警察庁「令和7年警察白書 統計資料 5-12 都道府県別運転代行業者数の年別推移」 |
| A | 総務省統計局「家計調査 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年〜2025年平均)外食」 |
| A | 秋田県警察「風俗営業・特定遊興飲食店営業関係申請・届出様式」 |
| B | 公益社団法人秋田県食品衛生協会「食品衛生責任者養成講習会(会場集合型)」 |
すべて実URLを開いて原典を確認しました(確認日 2026-08-05)。

出典の一覧
更新履歴
| 日付 | 種別 | 内容 |
|---|---|---|
| 2026-08-05 | 初回作成 | 公開情報だけで初版を作成。A級27件・B級1件の原典を確認。地域を1つの市に固定し、商圏の人口・世帯・年齢構成・飲食店数・1事業所当たり売上を公的統計の実数で置いた。酒を出す店の集客を「歩ける・代行・送迎」の3つに絞り、車社会の制約を自動車保有台数・バスと鉄道の乗車人員・運転代行業者数で押さえた |
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